今読んでいる 『ホンモノの思考力』 という子供だましみたいなタイトルの新書は、
型にはまった常套句をクチグセのように繰り返して、論理的思考や理解力を身につけて
いこうという指南書である。読み易くて分かり易い。

オレさまもこの本にあるとおり、今日からは 「問題点は3つある」 をクチグセに
しようと思うのだが、その場合には問題点が3つある。

まず第一には、そう言ってしまったものの実際に問題と考えられる点が3つも
思い浮かばなかった場合である。本当は2つしか問題点が見つかっていないのに、
無理矢理に問題点の数を3つにするために残り1つを、、多大な時間と労力を費やして
しかもヤケクソで駄洒落かなんかで誤魔化そうとすれば、たちまち他者から知性と
理性と品性を疑われる結果を招くに違いない。あるいは最初から問題点が1つも
思いついていなかった場合などは、ただの人騒がせの妄想狂と見做されて世間やマスコミや
国家や警察や救急車から酷い非難と迫害を受けることにさえなりそうだ。じつに問題である。

第二は、実際に問題点が4つ以上あった場合である。序列のつけられない重要な
問題群について、枚挙し始めてから3つ以内に言及できなかった4つ目以降の問題点
に対して、その解決策を講じる機会が永久に失われるばかりでなく、本人は気づいて
いるのにもかかわらず、本来気づくべき事柄に気づいておらぬわという誤解を受け、
他者からその鈍感さを非難あるいは嘲笑あるいは軽蔑される事態に陥りかねない。
これまたじつに問題である。

以上の理由から、「問題点は3つある」 というクチグセの導入を、
わずかながらにも躊躇せずにはいられないのだ。