2020-01-01から1年間の記事一覧

『約束のネバーランド』が、カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』を連想させるという意見はありそうだが、自分はなぜか『ライ麦畑でつかまえて』を思い出してしまう。 ライ麦畑のなかで何千という小さな子供たちが何かのゲームをしている、大人は自分だ…

明け方、ふと目が覚めて寝つかれず、ふと思い出して、ずいぶん前に読みかけて放り投げていた、足立紳『喜劇愛妻物語』の続きを読みはじめてみる。"三週間後、香川へと出発する日の朝、俺たち家族は薄らと明るくなってきた午前四時二十分に家を出た" ちょう…

ちくま学芸文庫の『深く「読む」技術』という本を読んでいたら、終盤で野坂昭如の小説『火垂るの墓』の冒頭部分が引用されてきた。そこで、ふいに主人公の清太が死んだのは昭和20年9月22日であったことを知る。今日である。

持っていた折りたたみ傘をしぶしぶ開いて駅に向かって歩いていたら、駅に着く前に夕立がやんだ。雨は俄かに始まって俄かに終わった。ふたたび夕陽がさして、歩道も看板も黄金色に光るし、青空には雲が白く発達している。暖かい雨の匂いが立ち上ってきて、少…

ようやく陽射しが出てきたので、先月Amazonで購入した古書を縁側に並べていたら、一冊の隙間から展覧会の優待券が2枚出てきた。 「新宿・伊勢丹美術館『日本近代文学館創立20周年記念 近代文学展-秘蔵文庫・コレクション特別公開』6月11日(金)ー22日(火)」 …

ひばりヶ丘駅の階段を、大声で歌いながらというより怒鳴りながら降りてくる若い女性がいた。たぶんすれ違いざまに飛沫を浴びてしまったと思う。でも、そんなことよりも、歌う彼女の迫力のほうが感染力が高そうだった。あれはたぶん宇多田ヒカルの『オートマ…

枝豆を貪り食い、手に余った鞘を小鉢に叩きつける、やさぐれるとはそういうことだ。

"みわたせばいづこもおなじアウェー感ただよふ宇宙の居心地のよさ" 惑星フリーザ在住の匿名希望のFさんからの投稿。「宇宙」と書いて「そら」と読むようになったのは宇宙世紀でも79年頃からだろうか。季語がないけれども俳諧ではないのからこれはこれで良い…