2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

明け方、ふと目が覚めて寝つかれず、ふと思い出して、ずいぶん前に読みかけて放り投げていた、足立紳『喜劇愛妻物語』の続きを読みはじめてみる。"三週間後、香川へと出発する日の朝、俺たち家族は薄らと明るくなってきた午前四時二十分に家を出た" ちょう…

ちくま学芸文庫の『深く「読む」技術』という本を読んでいたら、終盤で野坂昭如の小説『火垂るの墓』の冒頭部分が引用されてきた。そこで、ふいに主人公の清太が死んだのは昭和20年9月22日であったことを知る。今日である。

持っていた折りたたみ傘をしぶしぶ開いて駅に向かって歩いていたら、駅に着く前に夕立がやんだ。雨は俄かに始まって俄かに終わった。ふたたび夕陽がさして、歩道も看板も黄金色に光るし、青空には雲が白く発達している。暖かい雨の匂いが立ち上ってきて、少…