ようやく陽射しが出てきたので、先月Amazonで購入した古書を縁側に並べていたら、一冊の隙間から展覧会の優待券が2枚出てきた。

「新宿・伊勢丹美術館『日本近代文学館創立20周年記念 近代文学展-秘蔵文庫・コレクション特別公開』6月11日(金)ー22日(火)」

この古書が家に届いたのは先月の6月23日で、やはり火曜日だった。微妙にシンクロしているところが興味深いのだ。調べてみたら展覧会が開催されたのは1982年だった。この古書は第2刷で1981年発行だから、優待券はこの本の最初の持ち主がしのばせたものと思われる。そしてたぶん彼(彼女?)は展覧会には行かなかった。

文学に関心はあるけれども「マニアではないからな」と思い直した、あるいは彼女(彼?)を誘って出かけてみるつもりだったが「マニアだと思われたくないしな」と思い直した、そういう心境の変化をこの本が促した可能性が考えられる。辻邦生森有正のことを書いた断片集で、要するにマニアックな書籍なのだが、たぶん読んだ人のなかに森有正が乗り感染ってしまったのだろう。さすがの森有正も文学展には興味なさそうだしな。

行ってみたかったな、近代文学展。

少しページをめくっていたら、さらに早稲田大学高等学院の外出許可書(白紙)がこぼれ落ちてきた。何となく打ちのめされた。