ＪＲ両国駅から回向院までの歩道には４体の力士像がある。それぞれが力士の日常を表現したもので、両国駅側から数えて、（１）釣りの自慢話をする力士、（２）雨が降ってきたかどうかを確かめている力士、（３）畳の張り替えを積極的に手伝う力士、（４）トイレットペーパーを無駄に引き出す力士、となっている。雪が降ったりすると、誰かが毛糸の手袋などをつけてやったりしているようで、ビートルズがリバプールの人々に愛されているように、４体の力士像は両国の人々に愛されている。以前に 「あれ８体ですよね」 という酔っ払いの意見を耳にしたことがあるので、自分は毎朝、この力士像を数えながら、すっかり目が覚めていることを確認しつつ職場まで歩くようにしている。回向院門前の左右に１本ずつ植えられた紅白の梅が少しずつ咲き始めた。いよいよ春か。
オフィス内の自動販売機の前でコーヒーにするか紅茶にするかコーンポタージュにするかいっそあずきオレかとあずき誰？やっぱりコーヒーかもと葛藤していたところへなんとなく後輩の姿が目に入り、なんとなく映画 『ライラの冒険』 の話題になったので、ついでに藤崎マーケットとの関係についても意識合わせをしておく。コーヒーをすすりながら席にもどり、ＰＣの壁紙にしている 「平城遷都千三百年を記念するイベントのマスコットキャラクター」 をじっと眺めながら、彼の名前を考える。名可名非常名と老子は言ったそうだが、この子には名前が必要だと心の中のナウシカも言っている。
