小遣いが無くなったから追加戴きたいと妻に頼んだら、”給料日モウスグ_死守セヨ”と電報で回答がきた。精神論できたか。昨日のカラオケ代を払っておらぬことを思い出したから、”ソノ分ダケデモ何トカサレタシ” とこちらも速達電報でさらに働きかけると、”残高少ナシ不可能” と近づいて財布の中を開いて見せてくる。確かに、黄色い財布に挟まれて、やさぐれた千円札が1枚だけわだかまっている。さすがは主婦。モノ持ちが良い。もしかして弁当代も無いのかと問うてくれたので涙さしぐみうなずくと、その千円札を引き抜いて持たせてくれた。妻の情が身に沁みる。

とりあえず出勤までに調達できた総額 1,219円 を携えて出社。なによりまず昨日のカラオケ代を取りまとめてくれたMAX君に確認してみたら一人当たり 800円で良いというので、何度も念を押してから潔く支払う。これで残高は419円になる。一つの窮地を乗り越えたので、コーヒーなど買って一息つきたいところだが、419円なら昼食も買えるかも知れないと欲が出てひとまずコーヒーは我慢。昼食に、ほか弁で390円の弁当を購入。所持金残高29円。

29円では画鋲も変えないので、どうにかして増やせないかと周囲の人に 「何か手伝えることはありませんか、えへへへ」 と営業してまわったが、いずこでも冷たくあしらわれる。不景気なのである。ふと、O田女史に管理させている 「アレ・ナンカ・チョット・マアイイカ罰金箱」 というものがあったことを思い出し、支配人を呼び出して貯金箱を開けさせ、借用書を認めてそこから千円だけ借りる。最初らこうすればよかったのである。懐に余裕が出てくるとはつまりこういう気分か。ポカリスエットだのウーロン茶だの、立て続けに自販機から購入してがぶがぶ飲む。どうやら二日酔であることさえ忘れていたようだ。潤うとはつまりこういう感じかと独り安寧の淵に肩まで浸かる。

21時頃退社。両国駅周辺にエネルギーの有り余っているような若者がうようよ集まっている。大半が酔っ払っている。奇声を上げるものもいる。いったい何事だったのか。