手塚治虫の 『百物語』 を入手するため地元駅前の書店に入ってみたが想像したとおり手塚作品がほとんど置かれていない。そこで池袋のLIBROに行ってみる。ところがここにもなかったのでやや焦る。これは神田あたりまで出ねばならぬかと、覚悟も半ばに三軒目の池袋ジュンク堂へ飛び込んでみたら、そこで大量の手塚マンガを発見する。ジュンク堂はえらい。『百物語』(集英社文庫)、『冒険狂時代』(秋田文庫)、『人間ども集まれ!(完全版)』 の3冊を購入。

それから、池袋の改札で妻や義妹夫婦や義父母と待ち合わせ、しゃぶしゃぶ屋で昼食。ビールで乾杯したのち牛肉をじゃんじゃん洗って食う。躊躇わない。マシンだ! おまへはしゃぶしゃぶマシンになるのだ! ごまダレで貪り食う。1時間ほどがつがつ食べたのち、ふいに予定があることを思い出して、皆を置いて一人だけ先に挨拶をして店を出る。

そういうわけで、とりあえず実家に行く。テレビを点けて12チャンネルの競馬中継を観る。京都新聞杯のテューダーローズは6着。武(調子に乗るなよ)豊は丁寧に乗ったようで、力のある馬なら完勝パタンだった。もういい。もう頼まぬ。実母に頼まれた用事を済ませて実家を去る。

貸本屋に寄って 『攻殻機動隊』 を借りる。残念ながら続巻のほうは無かった。真っ直ぐ帰宅してまずは買ったばかりの 『百物語』 を読む。浪岡城主とドイツ皇帝に何らかの関連性を見出そうとして、 ”ドイツ” とか ”ゲルマニア” とかいう言葉に、「波」とか「丘」の意味が含まれていないか調べてみたが、無駄な抵抗はやめろというメガホンが頭の中から聞こえてきたので両手を挙げて降参する。引き続き 『冒険狂時代』 を少し読んだり、インターネットを周遊したりする。

気がつくともう 『チャングムの誓い』 の始まる時間になっていた。慌てて妻と一緒にブラウン管の前に正座する。オレさまにとっては、ある意味で今日が最終回となるに違いないのであった。

流刑地に護送されるチャングムハン尚宮。度重なる拷問に弱りきった師のハン尚宮の身体をチャングムが背負う。背負い歩きながら、さらに師を励まそうと、チャングムハン尚宮に懐かしく話しかけるのだった。


(尚宮さま、味覚をとりもどす料理の作り方、忘れちゃったのでまた教えてください、てへっ)


「まずエビを洗うの」   (そうだったわ、それから?)
「背わたをとる」     (背わた……どうやって?)
「串をつかう」      (そう、串を使って……それから?)
「塩でもむ」       (それから?)
「……」         (蒸すんですよね?)
「……」         (蒸すんですよね、尚宮さまっ!)


いやあああああああああ!