思い切って朝食を抜いて、腹痛の薬も飲まずに、家を出てみた。
問題なく出社できたが、かといって腹痛が治まったわけではない。
薬を飲む必要などもとから無かったのだということだ。

朝からヤケに仕事が捗ると思って、
カレンダーで六曜を確認してみたら先勝ではなくて友引だったり、
なんだか頭が重いと思って、理科年表をみてみたら満月でも朔でもなかったり、
どうも自分の生理現象が自然の営みと附合していないことに淋しさを感じたり。

昼休みに、お腹のことを思いながら易の卦を立ててみたところ、
「山風蠱(さんぷうこ)」 という卦が出た。
言い得て妙なだけに暗澹たる気分になる。

会社の帰りに池袋のレコード屋に寄って、なんとなくCDを2枚購入。
古楽の新譜1枚と、もう1枚はモツ・レク
『レクイエム』 のほうは、アーノンクールとかいう指揮者のやつで、
モーレツに前のめりらしいというので聴いてみたくなった。
2枚合わせて2300円也。

帰宅してすぐに、治ったか、と妻に聞かれたので、まだです、と答えておく。
迂闊に 「治りました」 などと言ってしまえば、さっそく床屋へ行けと
勧告されるに決まっている。

腹痛はともかく、今日もスポーツクラブへ行った。

そういうわけで今週は、おもに月曜日にうっかり買ってしまった新書を読んでいる。
自尊感情とか仮想的有能感とかいうものを主題に取り扱った文章である。

仮想的有能感というのは、自分が他者より優れていると思い込む感情を指して
言うのだが、その思い込みが実の伴わないあくまでも「仮想的・空想的」なもの
に過ぎないという点に特徴がある。何の実績も血統的背景も人気もないのに
自信満々で1番人気のような振舞いをする競走馬みたいなものだ……て、どんな馬だ?

まあ、いいか。

読むほどに我が身に覚えのある事ばかりである。
そもそもブログをやる人間などは、仮想的有能感の塊みたいな存在に決まっている。
そもそも、この ”オレさま” と威張った一人称など、何様のつもりかと言いたい。
まあ ”お互いさま” という感じなのです。

そういえば近頃の自分は、批判的精神が旺盛になってきたような気がする。
映画を観ても、テレビをみても、競馬のレースをみても、歌を聴いても、
ブツブツ小言ばかりを言っている。オレさまのなかの仮想的有能感は、
この小言をデジタルの海に放り投げながら、どんどん肥大してきていたのだ。
わーはははははは。