読まなければいけない本が山高く積まれているというのに 『西遊記』 など読んでいる。なにをしておるのか。それにしても、中野美代子訳は分かり易く、親しみ易い。こうでなくてはと感心しきりである。

西遊記』 は ”枚挙の文学” とも言われるようだが、そうした点も自称 ”枚挙偏執狂” のオレさまの琴線に触れる。例えば、天界で馬役人に任命された孫悟空が、さっそく管理馬のチェックをするのだが、本編にはまったく関係ないのに、千頭いる天馬のうちの36頭の馬名が一覧で紹介されたりする。変換できない漢字ばかりでネットに載せられる気がしないが、なかにはかの赤兎なども混ざっていたりしてなかなかのサービス。武器の種類も何十と数え上げられ、動物や魚や化物もいちいち数え上げられ、土地にしても、四大部洲、十大洞天、三十六小洞天、七十二福地、神々の名も、三清四御、五老、六司、七元、八極、九曜、十都、四大元帥、九天仙女、二十八宿、三十三天、雷将三十六人、鳳凰麒麟神亀、蛟竜、聖人、Om、Ma、Ni、Pad、Me Hum、見たことも聞いたことも無いような分類と文字のオンパレード、しかも、物語はなにかにつけて易卦を暗示させつつ陰陽五行に彩られ展開していくのである。ご苦労さま!