探し求めている本が絶版で困っていることをM村君に相談したら、
インターネットの古書店を教えてくれた→【ふるほん文庫やさん】
しかもそこに在庫が1点見つかったのである。しかも値段は定価とほぼ同額。
うーむ。

かつてM村君は、1冊の古本文庫を大枚3千5百円もはたいて買い求めたことが
あるそうだから、定価と同額ならラッキーなほうでしょうと助言してくれた。
買うか。ここで買っちゃうか……でももう少し考えてみよう。
あわよくば100円くらいで見つけたりしたいという欲が出てきた。

それにしても 『マイナス・ゼロ』 は、SFファンの間ではかなり高い評価を
得ている名作と聞いているのだが、なぜそれが絶版なのかと、なぜ重版未定
なのかと、深い憤りを感ぜずにはおれぬ。SFオンチの集英社が悪いのか、
取り次ぎが悪いのか、とにかく供給側が 【売れる本=価値のある本】 という
勘違いをしているとしか思えないこの現代の貧相な出版事情を嘆かわしく思う。

定時後はユーザーを囲んで会食。
オレさまの体内に隔された欲望の淵は限りなく深いものである。
物欲、食欲、性欲、知識欲、森林浴、出世欲などなどなどなどなどなどなど
オレさまはそうした、黒牛の腹のように膨れ上がった欲求を、超人的な理性を
もってして辛うじて抑制しながら、平凡な毎日を生きているのである。
ところが、お酒が、この養老の泉が、魔女の涙が、ときにオレさまの理性の
背中を支えている強固なタガを、ちょっとだけ緩めてしまうことがある。
それが恐ろしい。それが恐ろしいのだ。

恐ろしい、恐ろしい、とつぶやきながら、また思わぬ深酒をしてしまった。
いつものことだが、つまらぬ失言の湿原をだいぶ彷徨い歩いたようである。
気がついたら帰り道を歩いていた。

それでも帰宅したのは0時になる前だった。
留守電に図書館から督促メッセージが入っていることを妻が教えてくれた。
気が小さいため、今すぐにも図書館に飛んで行きたい気分になったのを、
妻になだめられ大人しく床に就いた。