8時起床。頭がボーとしているのは恐らく治りの悪い風邪のせい。なんだか耳も遠くなったような気がする。せっかくの休日を有意義に過ごしたいと切望しつつ、とりあえず読みかけのマンガを少し読み、布団を干すのを手伝い、朝食を摂りながらNHKのドラマなど昼頃まで観てしまう。うーむ。何かが違う。これは私の望んだ所謂有意義な休日とは異なるものではないのか。妻などはそのうちに掃除機の首を掴み部屋中を引き回し始めをる。やめて、掃除機が。掃除機がとても苦しんでいる。いや、苦しそうに見えるのは自分の先入見のせいなのである。もっと想像するのだ。幸福な世界像を頭のなかに再構築するのだ。イメージ変換するのだ。妻とスクラム組んだ掃除機の背中を追いながら、ぼくーのーせーなかは自分がー、思ーうーよーり掃除機かい♪ と頭の中で歌ってみる。まあ、いいか。自分も何か役に立つことをしようと、立ち上がって扉を開き小さな庭に出て草をむしる。ずばずばむしる。強欲で非情で能天気な領主のようにただむしり取る。咲き終わった花々の足元から、誇らしげなレンガの脇から、寄せ集めの小石の隙間から、無秩序な意志の裏側から、ただ丁寧に枯葉と雑草を取り除いていく。見よ人間はこうして文明を拓いてきたのである。10万年にも感じられた2時間を草むしりに没頭して過ごすとなんだか偉くなったような気がしてくる。更地になった地面を軍手の甲と掌で撫でてから、立ち上がろうとして立ちくらみ。なんだこのめまいは。ああ神よ、我々は何処から来て、そして何処へ行けと仰るのか。サンクスか、ドトールか、それとも駅前の小諸そばか。とりあえず身支度をして外出。理由もなく逃げてばかり。とにかく歩け。駅二つ分を往復する3時間コースだ。そして折り返し地点でラーメンとか食べるのだと決めていたのに、辿りついてみれば適当なラーメン屋が見つからない。仕方なく稲荷寿司のパックなど買い食いして失意の雰囲気など醸してみる。帰宅後は失意を舐め倒すように引きこもり、窓外の景色など眺めながら缶チューハイなどすすりながらボーとして過ごす。