青空にヒコーキ雲がよく走っておる。二日酔の状態で病院に行くというのは、やはり医師にも患者にも迷惑なものに違いないが、あの待合室の中では自分がもっとも患者らしい表情をしていたのではなかったかと思う。医師に叱られながら処方箋をもらって病院を出る。二日酔の状態で薬局に行くというのは、やはり薬剤師にも患者にも迷惑に違いないが……、まあ、いいか。
スーパーマーケットで母に頼まれた買い物をしながら、つくづく世に食べ物が有り余っておると実感したり。我々はもしかして今ももエデンの園で知恵の実を貪りながら暮らしているのではないかと妄想する。お米などぶら下げて実家を訪ね、渋々掃除など手伝わされたり。それにしても青空にヒコーキ雲がよく走る。南の空に浮かび上がったグランドクロスを眺めながら、しばらくM78星雲に帰ってないことを思い出したり。
本屋で百鬼園ノラや』 を立ち読みし、帰宅してTAD氏のブログにアクセスしてみれば谷崎潤一郎の 『猫と庄造と二人のおんな』 が紹介されており、O田女史に借りて少しずつ読んでいる 『ARIA』 の世界も猫が大切な役割として登場するし、どうも近頃は猫づいているにゃーと思っていたら、夕食後に今度は妻が 「な゛ー」 と喧嘩する猫の鳴き真似をして聞かせる。”鶏鳴狗盗” というが、いつ孟嘗君食客として迎え入れられてもおかしくないほどの腕前である。一体どこで練習したのかと問い質したら、どうも近頃は家の庭先で猫が喧嘩をするらしい。ナ゛ー……。ヴニャー……。と妖しく威嚇し合っているところへ、妻が何気なく湯沸かし器を使うと、そのときだけ猫の鳴き声が止むのだそうだ。室外機でボッと火の燃える音がするからだという。洗い物を終えて湯を止めると、じきにまた 「ナ゛ー」 という威嚇の鳴き声が始まる。妻がシャワーを使うと、また鳴き止む。あまり可笑しい話なのでしばらく笑い転げていた。