miniPOGの表彰式とドラフト。
両国の 『日本橋亭』。

女性陣は3人とも、席についてからPOG雑誌なんかを開いて、
「あたしまだ決めてないのよね〜」
とか言いながら、紙を広げて指名リストを作りはじめる始末。
ヤル気ナシ子さんたちの牽制にあきれつつ、ビールを焼酎に切り替える。

K藤ちゃんが少し遅れたが、人数が揃ったところでまずは表彰式。
事務局のY成君は、わざわざこの日のために賞品を買いに出かけたり、
統計資料を作成したり、よくがんばってくれた。

6位(M川女史)と5位(K藤ちゃん)の二人には色違いのハンドタオル。
4位(Y山さん)には、本当にY山さんには必要な、馬券の当たるお守り。
3位(N藤女史)には、女子の部1位ということで 『シービスケット』 のDVD。
2位(O谷君)には左馬の字の柄のついた縁起のいい夫婦茶碗
優勝したY成君はディープインパクトのタオルを自分のために買っていた。

各人に賞品が渡される度に拍手があがる。オレさまはダントツのビリだった。
おミソで遊んでもらっている子供のように不安な気持ちを隠しながら、賞品授与の
たびに笑顔で拍手。ウワサでは、ビリの人にも賞品があるということだったのだが、
すでに順番は過ぎてしまっていることと、配られていく立派な賞品の数々と参加費
合計残高との差額を頭の中で計算してみるにつれ、やはりビリには何も出ないのでは
ないかという一種の諦観あるいは不幸の先取りによる自己防衛心理が働きはじめる。
負けたのだから仕方ないことなのだ。
負けたのだから仕方ないことだ。
負けたヤツは裸になるだけだ。

すっかり淋しい気分になって、ネクタイでもはずそうかと迷ったりしていたら、
7位にも賞品がありますからという事務局からの明るい声とともに、
薄い封筒を手渡された。さては手書きのイラストだな、と推測しつつ開けてみたら、
なんと武(本当は大好き)豊のステッカーだった!
照れ隠しに難しい顔をしながら、ちぇ。とか、こんなもの要らないや。などと、
適当に誤魔化しつつ、心のなかで小躍りする。

この武(スティンガーじゃないぜ)豊ステッカーは、職場のPCに貼ったりしよう!
武(今年も200勝だ!)豊がついていれば、何だって速くなっちまうんだから。
えへへへ。
大切にカバンに仕舞い込んでみる。

ひととおり表彰式が終わったところで、ぼちぼちドラフト開始である。
今年は、ちょっとだけルール改正があった。
まずはサンデーサイレンス産駒の指名頭数が5頭までに制限された。
今年の2歳がラストクロップだというのに、ブツブツブツ。
全部サンデーにしてやろうと思ったのに、ブツブツブツ。

それから、牝馬を最低3頭は指名しなければならなくなった。
10頭全部牝馬でも良いけれど、牡ばかりではダメということである。
ちぇ。今年は全部サンデーの牡で固めてやろうと思っていたのに、ブツブツブツ。

もうひとつ、通常の10頭に加えて、抽選馬を1頭増やすことになった。
各自が 「これはちょっと指名を控えたい」 と思う馬をそれぞれ1頭ずつ選んで
投票用紙に書いて抽選箱に投函し、今度はそこから順番に引いていって、
引いた馬を指名馬としなければならないというもの。オマケみたいなものである。
オレさまは ”ドリアン” という馬の名前を書いて投票した。
いちおうブライアンズタイム産駒で、赤本にもちょっとだけ載っている馬なのだが、
名前がちょっとな……。

1巡目で競合が発生し、目玉のSS産駒は軒並み連れて行かれた。
Y成君が指名内容を読み上げ、O谷君がモバイルPCに記録していく。
2巡目以降も、M川女史が 「やっぱり他の馬にするから返して」 といって開票の
邪魔をしたり、サラブレ付録の小冊子をぺらぺらめくりながら、
ノースヒルズと杜(もり)台ファームはどっちが良いですか」 とか、
不思議な質問をN藤女史はしてくるし、ああ、社台ファームのことかと気がついて、
そんな重要なキーワードも知らんヤツとSS産駒を奪い合うのかと、
脱力の泉に落ち込んだり、「ちゃんとコメントも読んで」 とかいうわりには、
K藤ちゃんの投票用紙には、”サンデー産駒かっこいい” しか書いてなかったりして、
そのうえ、店内のテレビでサッカー中継やっていて、ときどきウワオゥワオォォォ!
とか盛り上がって、気がつくとY成君とオレさま以外誰も席にいなくなっていたり、
決して坦々としていたわけではないが、とにかく、壊れた回転木馬がいちおうコイン
の分だけ回転するのを見届けているライ麦畑のホールデン少年のような安らかな気分
で5巡目あたりまでを平和にやり過ごす。

5巡目のあとで、例の抽選馬のコーナーになった。
メンバーは、あらかじめ各自によって投票された抽選用紙の中から、ランダムに
1枚の票を取り出して、責任を持ってそこに書かれた馬のPOとならねばならない。
前回最下位の人からどうぞ、ということで、まずオレさまが引いた。
”ドリアン” である。

○| ̄|_

自分が仕込んだネタを、自分で引いてしまった。
馬がどうのこうのというよりも、自爆したことがショックである。
Y成君に特別にお願いして、もう1頭、オレさまのネタ馬を投票させてもらう。
とりあえず、そんな風にして選出された7頭の抽選馬は以下のとおり。

ドリアン(父BT)、ナミヘイ(父アフリート)、ノーメイク(父Aタキオン)、
トレノトマト(父デヒア)、コッパミジン(父Aタキオン)、
ミスティックリバー(父SS)、クレセントクレスト(父フレンチデピュティ

最後の2頭は、POGならではのネタ馬である。
ミスティックリバーは、昨年度のイケていなかった年度代表馬ボールドサイレンス
の全妹だし、クレセントクレストの兄は昨年デビュー前に癌で死んでいる。

あらためて通常のドラフトを6巡目から再開。
SS産駒頭数の縛りや、牝馬頭数の縛りが、だんだん煩わしくなってくる頃である。
それでも、将棋でいえばここまでが相矢倉の陣形が整った状態で、勝負はここから
始まるのであるが、具体的な指名内容は miniPOGのホームページに譲る。
更新には時間がかかりそうだが。

ドラフトが終わったのは23時過ぎだった。慌てて会計を済ませて店を出る。
御茶ノ水の地下鉄の駅のホームで、
頭にお茶のペットボトルを乗せてハーモニカを吹いているおじさんがいた。

夜はときに暖かい。