競馬場へは何度も足を運んだことがあるが、ダービー観戦は初めてである。久々に府中競馬場を訪れてみれば、ちょうど8R青嵐賞の実況中で、カノンコードとかいうパッヘルベルな馬が先頭でゴールするところを眺めながら、目の前で騒ぐ人間の数のあまりの多さに、とんでもないところに来てしまったと感じる。それにしても、締め切りに間に合っていれば、カノンコードとかいうその馬名に惹かれてついつい単勝を買っていたはずだから、惜しいことをしたやうな気がする。
それにしても、ものすごいひと集りである。最近はダービー当日でも入場制限をしないようだが、どうしてどうして満員御礼ではないか。携帯からSyu君に電話してみると、30番あたりのスタンドに居ますからという。ずいぶん向こうまで歩かなければならぬ。人混みをかき分けながら、へとへとへとになってようやく皆さんと合流。
とりあえず、9Rむらさき賞の7枠にリルダヴァルが出走しているのを発見して、すかさず単勝馬券を買いに行く。買った馬券を手のひらに太陽を透かしてみれば、なぜかその馬券は7番トーセンジャガー単勝馬券にすり替わっている。おお。しばらく馬場に来ないうちに、うっかり馬券を買い間違えるほどすっかり初心に還ってしまったか。
などと刹那は感心してみたものの、あわてて自販機に引き返して15番のリルダヴァルの単勝を買い直す。そうして、皆には黙っているつもりだったのだが、やはり黙っては居られない性分なので、馬券を間違えて買ってしまったことを洗いざらい白状して、すっかり笑い話に仕立て上げたわけだが、レースが始まってみれば問題の7番がスルスルと1位で入線してしまって単勝が860円もついたのである。うーむ。しばらく馬場に来ないうちにビギナーズラックに遭うほど初心に還ってしまったか。
ダービーは、PO馬のスピルバーグを渋々応援してみたが、スタート出遅れて後方追走。最後だけほんのちょっと伸びてゴール。まるで自分の、今年一年間のPOGを振り返って見るようだった。
次の11Rレースでは、馬柱にジャズピアノという馬名を見つけて、この馬からワイドを買ってみたら、2着に滑り込んでくれた。感動して「当たったよ」と言ったら、みなが手元を覗きこんでくるので、「ワイドだぜ」と微かな手の震えを気取られないように注意しながら、200円×5点買い=計1000円也の大切なワイド馬券をちら見せると、みな一様に浅いため息を落として再び新聞に目を戻した。滅多にないことなので存分に優越感に浸るべく「2つ当たったんだぜぇ」「ワイドだろぅ?」とスギちゃんの真似などしてしばらく浮かれてみる。そのうちに確定ランプが点いてみると、間違いなく2つ当たっているのだが、想像した以上に配当が下がってしまっていた。うーむ。苦笑いしながら「マイルドだぜぇ?」と言ってみたけれども、もうみんな見向きもしない。
驚いたことに、最終レースが目黒記念(G2)であるときには、さすがに「どうなっておるのか」と思わず声をあげてしまったが、まあ、いいか。狙い澄まして買った馬券は見事に外れて終了。
満員電車で新宿まで移動し、西口の沖縄料理店で反省会。オリオンビールのち泡盛ロック。