沢崎さん、オケラオー、と3人で、昨秋の競馬予想血闘10番勝負の表彰式。オケラオーが三期連続で名人位に輝いて、近頃のオケラオーには風格さえ現われてきたくらい。銀メダルはワイド作戦で闘ったワイルドワイドなオレさまで、沢崎さんが第三位。例によって池袋の 『串政』。年に数回しか会わないため、競馬の話だけでなく株価や文学や世相について手綱を緩めて鞭の叩きあい。行方も知れぬ討論は19時からスタートして閉店まで続いた。そのなかで、株式相場と競馬についての比較の話が出たときに、ふとレース中に走っている馬の馬券を買ったり売ったりする仕組みはいまや技術的には可能ではないかと気が着いた。こういう馬券が実現したら面白いかも知れない。せっかくなので実現のための具体案を三人で検討してみればよかった。帰りの電車のなかでいろいろ妄想を膨らませたり。
まずスタート前までに出走馬の単勝馬券を銘銘が好きなだけ購入する。値段は1口100円で売り切れも無い。レース直前に一旦締め切られる。この時点でオッズが決まる。人気馬なら1.5倍、穴馬なら10倍前後、万馬券の馬もいる。ここまでは、普通の競馬と何も変わらない。じきにレースがスタートする。人気馬のスタートが悪い。人気馬の単勝を持っている人が後悔して、まだハズレが決まらないうちに、1.5倍が予想されている単勝馬券を60円で売りに出す。この馬券は、レースが終わるまでの間に60円から150円の間で取引されることになるわけである。買い手がつかないこともある。あるいは、穴の逃げ馬が首尾よくハナに立てたとする。10倍の馬券が当たりそうな気がするが、その逃げ馬の単勝を500円で買いたいという人がいるので、利益を確定させたい気持もあって譲ってみる……。
こんなことは、コンピュータシステムとしては可能でも、わずか2分に満たないレースのあいだに取引するのでは、人間の判断や操作が追い着かないだろう。予め指し値をしておく仕組みにするとか、先物として未来の馬券の売買を許すとか、長距離長時間のレースを新設するとか、そういう工夫が必要かも知れない。ついでにレースの数を減らしつつ、現役競走馬の数も減らし、競走馬の現役年数の伸張を促進してはどうだろうか。まあ、いいか。9歳馬限定のシルバーダービーの創設を提唱したい。まあ、いいか。サラブレッド1頭の購入価格を引き上げ、生産量を減らし、廃棄の数も減らし、しかも馬券収益が維持できる方法があれば良いのである。レースの数が減ってもその分に見合う額が株式馬券の売買手数料で補われれば良いのだろうが、うーむ。難しそうである。そもそも、ただの株式取引のミニチュア版に終わってしまっては、やはり面白くないに違いない。