きれいなホテルだったけれども、神経が昂ぶっていたせいか寝付かれない。1時間ごとに目を覚ましては、1時間寝たぞと自分を褒めてやる。7時にはきっぱりあきらめて起床、朝食後、9時にチェックアウト。
茶店を探そうとして、富士駅の階段を昇りきったところで息を呑む。富士山の頂上部分だけが空に浮かんでいた。なんという存在感。パズーの父親もこんな畏怖を感じてシャッターを切ったのだろうか。とりあえず手を合わせてみたりする。
富士駅周辺はたくさんお店があるようなのだが、まだ9時過ぎだったせいか、どこもシャッターが閉まっている。途方に暮れていたら、職場で持たされていた携帯電話がズボンのポケットの中でブルブル震えだしたのでもの凄くビックリする。慌てて開いて、青いボタンを押してみる。O田女史からである。仕事の話である。携帯電話で話を聞きながら、駅前の商店街を延々と歩く。富士駅周辺は結構賑やかなところである。
なかなか開いている店が見つからず、線路を何回も越えながら、だいぶ歩いたところで、裏通りのモスバーガーに入る。カフェラテなど注文し、しばらく書類の整理などしていると、BGMでビートルズの 『Money』 が聞こえてきた。とりあえずメモする。
昼前に工場に入ってメールだの会議だので夕方までかかり、夜は新富士駅のビル内でビールを飲む。桜エビ。黒はんぺん。富士宮やきそば。それから新幹線に乗る。
やや遅めに帰宅してみれば、妻は一人でラテン・ダンスを踊っていた。