午後から新幹線にしがみついて富士山麓あたりまで出張。1時間ほどで富士山麓に着いてみれば、灰色の絹のカーテンを引いた様な空。なのに妙に明るい。けれども目の前にあって良いはずの富士山は、灰色の絵の具に塗りつぶされたようにすっぽりと消えてしまっている。なのに妙に明るい空と自分。工場で1時間程度の打ち合わせを済ませて、また跳ねまわる山びこのように新幹線こだまに乗って帰って来る。新富士駅を発ったときには天気が回復して夕陽が暖かく感じられるほどだったのが、東京駅にじわじわじわ近づくにしたがってだんだん雲行きが怪しくなってくる。窓外に傘を差して歩いている小さな人々の姿が見える。傘を持たずに来てしまった過去の自分を責める。なるべく問題を先送りにするため、地上には出ないように東京駅から地下鉄など駆使して地元駅まで帰る。そのころにはもう雨は止んでいた。待てば海路。カレーを煮込みながら語る妻の証言によると、東京では雷が落ちたり、雪が降ったり、あられを食べたりしたらしい。うーむ。昭和天皇崩御以来という天変地異を見逃したか。