いつもジョギングしている道沿いに、広く大きな庭のある家があって、柵のむこうに白い犬が一匹住んでいる。吠えたりはしないが、人が近づくと落ち着かない様子で広い庭を走り回る。元気に運動できるのだから飼い犬としては恵まれたほうかもな、いや淋しさがいや増すばかりなのかも知れないな、などと通り過ぎながら想いを廻らせたりしていた。ところが最近、その庭にいる犬は一匹だけではなく、実はそっくりな犬がもう一匹いることを知った。これまで、どちらかだけが犬小屋の外にいるのを見ていたらしい。すっかりだまされた。