出がけに玄関で 「コート取って」 と妻に頼んだら、「もう要らないでしょう」 と判事みたいに切り替えしてきたので、そうかも知れないなと考えながら家を出る。今は寒いような気もするけれども3月だしな、3月といえば春だしな、コート重いしな、と思索しながら電車に乗ったり、電車を降りたり、出社したり、昼休みに弁当を買いに出たりしてみたけれどもやっぱり寒い。
夜は新年会。やっぱり寒い。前チームリーダーとその分身のRinoちゃんを迎えつつ現チームの新年会。駅前のちゃんこ屋。夜風で凍てついた身体に、人情と鍋とまわしがとても温かい。とりあえずビールそっちのけでRinoちゃんと遊ぶ。この子はなぜこんなに可愛いのか。さすがに子供は寝る時間が早いので、開始から1時間ほどでRinoちゃんとママは退場。たちまち火が消えたような淋しさに襲われる。鍋のコンロが消えている。さあ、さあ、気を取り直してという感じで、中居さんが鍋にうどんを放り込んでいく。とりとめのないシステム開発の話で盛り上がる。開発したシステムに誰もログインできないという超常現象の体験談や、ライト・オンリー・メモリーの恐怖や、宇宙人に記憶を操作されていてシステム障害の原因を口に出そうとすると頭痛がする件など、どれも背筋が凍る話ばかりで、やっぱりコートを着てくれば良かったと後悔する。森本レオに似ているとときどき言われることがあるが、今日も言われたので、両国駅のホームで 「きかんしゃ、トーマス」 と呟いてみる。わーと反響。「この、おはなしは」 とまた呟いてみる。わーと反響。もっと練習しなければと思う。