異常寒波の影響で夕食はカツ丼。長らく居間の一角を占めていた大型テレビがついに壊れたことについて話し合う。思い返せばあのアメリ同時多発テロの目を疑うような惨劇を目撃させられたのも、くだんのブラウン管を通してであった。このところ調子が悪そうだったので、なるべくテレビは見ないようにしていたのだが、先日とうとう電源を入れてもすぐに切れてしまうようになった。

「お早うあのね僕ね(プツン)……ああびっくりした今怖い夢を観たよ(プツン)……あれれどうしちゃっ(プツン)……助けて僕なんだか変(プツン)……」 残念だがここまでか。正式にコンセントを抜いて折り畳むように指示する。艦橋で働く戦友達がみな私の背後ですすり泣いている。さらばテレビ、静かに眠れ。

そういうわけで、第1線のテレビが壊れたということで、長いあいだ客間でホコリを被っていた小さなテレビデオ君が一躍脚光を浴びることになった。小さい。モノラル。テレビが壊れたらビデオが観られない。などいろいろ弱点があるが、どことなく愛嬌のあるフォルムで、たちどころに妻と意気投合してしまった。夫婦で話し合ったところ、すぐにも新しいテレビを買うべきだという意見も出たのだが、全体的にはこのままテレビデオ君で行こうという意見が過半数を占めた。