昼休みも近くなった頃、同僚のカゴシマさんに友人との会食のための店探しを相談される。 「どこかにジンギスカン料理の美味しい店をご存知ありませんか」  ジンギスカン料理? (第三者登場)ジンギスカン料理? (第四者登場)ジンギスカンって姓がジンギスで名前がカンていう感じですかね。いや正確にはチンギス・ハーンでしょう、ハーンは役職名にあたるものでは。(第五者登場)子供の頃はテムジンていう名前なんですよね。おおそうそう、蒼き狼。(じつは源義経ではないかという噂があるというネタが喉まで出掛かったが辛うじて堪える) 「だんだんジンギスカン料理と離れていく」  ああごめん、ジンギスカンの店だね。つまり羊の肉だよね。 「ええマトンかラムです」  ラム? (『うる星やつら』 が喉まで出掛かっているも辛うじて堪える)  「新宿か渋谷で探しています」  新宿だったら岐阜料理の店で良い店を知っているけどな。また岐阜県人会ネタですか。岐阜料理って何かありましたっけ?  「ジンギスカンが良いんですけれど」  いや、豚チャン、鶏チャンって言うのだけれどもね、これが鉄板で焼くところがどことなくジンギスカンに似ている。 「ジンギスカンがいい」  でもその店は凄いんだよ。へえどこが凄いんですか。オレたちが行った数日後に大変な殺人事件が起きたの、知らない? 知らないな。店員が刺し殺されて。知らない。知らないの。やめましょうこの話。 「ジンギスカンのお店」  わかってる。しかしどうして羊の肉がジンギスカンなんですかねえ。しかも北海道なのね。ああ、君たち、村上春樹読んだ? 『羊をめぐる冒険』 読んだ? いや読んでないです。じゃあ、まあいいか。そういえば、マクドナルドは値上げするんですよね。なにそれ関係ないじゃん。いえ実は私、マクドナルドでバイトしてました。ああそう、変な客とかいた? ええ、スマイルくださいとか。フツーだな。オレ、外国人のフリして注文したことがある日本語が分からないフリして。ごめんごめんジンギスカンの店だよね。どこかにいい店、無かったっけ。なんだかあった様な気がする。うん、するなあ。どこだっけなあ。うーん。山田モンゴル。おおそれ。でも潰れました。どの辺? 地元です。関係ないじゃん。「……」