予報どおりに雨。忌々しさに眉をひそめながらも、世界で最も凡庸なゴールデンウィークを過ごした男としての名声に酔い痴れてみる。極め付きにはぼんやりとした奥歯の疼きである。悪化する前に治療しておく必要がありそうなので、歯医者の始業時刻を待ってから電話で予約を入れたりする。空しい。気をとりなおして昨日借りた 『月館の殺人』 を読む。綾辻行人の原作を佐々木倫子が漫画にしたものだが、佐々木倫子のあの雰囲気がちゃんと活かされており、テツ(鉄道マニアのこと) の業を廻った凄惨な殺人事件を扱っているのにも関わらず、何故か安らぎを感じつつ上下巻を満遍なく読み終える。幸せな時間を過ごした。勢いを借りて宮脇俊三の紀行文 (何故か文庫を持っているのだが、勿論自分はテツではない) などベッドの上で読みながら眠ったり起きたり。本を片手に開いたまま眠ることの幸福よ。寸暇を惜しんで惰眠を貪る。午後1時頃になって、GEOで借りた 『コープズブライド』 を観る。やや結末に納得がいかない。生と死とはたいした違いがないと言いたかったのか、それとも明確に区別すべきだと言いたかったのか、いったい愛とは何なのか、そうしたことへの意図を作品から読み取ろうとするとどうしても混乱してしまう。たぶん構想の段階で欲張りすぎたのだと思う。いよいよ歯医者の予約時刻が近づいたので着替えて出かける。15分ほどの治療を終えて痛みがすっかり失われる。これもまた一つの喪失感であるかと遠い目をしつつ帰宅。テレビで 『サザエさん』 を観たり、ずっと以前に録画しておいた寺山修司の特番を観たり、『新日曜美術館』 を観たり、『ブレイブストーリー』 を観たり。勇者なのにどうして逃げてるんだ? と唱和してみたり。