良い天気だが、相変わらず熱っぽい。部屋の中でヘルメットを被っているような感覚。なんとかベッドから起き抜けたのは良いが、そのまま昨夜に録画しておいた 『ハリーポッターとアズカバンの囚人』 を再生し、見るでもなくぼーとして小一時間を過ごす。画面がCMに変わっても早送りなどしない。体調は最悪だが、天気の良さがどうにも惜しく感じられる。ぼーっとしている自分にだんだん腹が立ってきて、妻に命じてハリーポッターを停止させ、無理を押して各駅停車に乗り、ふらふらする魔法の絨毯に乗り、ふわふわした気球に乗って、石神井公園まで出かける。花見をするのである。桜花を愛でるのである。浮世の夢を貪るのである。本来であれば妻に弁当などこしらえさせるべきところだが、彼女も調子が悪そうなので、タマゴ焼きもウインナーも散らし寿司も胸のうちにしまっておいて、代わりに石神井公園駅前のパン屋でカレーパンとゴマ揚げパンと白身フライドッグを2つずつ買わせる。それから公園付近の屋台で缶ビールも少し買う。350mlの缶ビールが1本350円。まあそんなものだろう。ところで1円玉は1gのアルミニウムから出来ているわけだが、350gのアルミニウムと350mlの缶ビールが等価ということで、350mlアルミ缶の重さは約20gらしいということに加えて水1mlあたりの重さは1gである。これはつまりどういうことなのか。朦朧とした頭の中が混沌としはじめたので、とりあえず、どうしても花見をせねばならぬことにだけ集中することにして、野球場のある辺りに行ってみれば、満開の桜のドームの下で無数の老若男女の酔っ払いがビニールシートの上で酔っ払っている。一升瓶だの乳母車だの運動靴だの足の踏み場もない。いずこも何故か青きビニールシートを掻き分け、適当に座るところを見つけて夫婦で乾杯。風邪を引いているせいかビールを350mlほど飲んだだけでもうフラフラフラフラになる。そのうえパンを食べたらどうにも眠くなったので、とりあえず花見ができたことで善しとしてフラフラフラフラしながら帰ってくる。本日がエイプリールフールであるため、未来の自分が過去の自分を疑いの目で見ることが明らかなので、あえて上述の出来事が実話であることもここに書き添えておく。