ついに百首目を覚えるまでに至る。この 「ももしきや」 という句は、我が尊敬する諸星あたる大先生が名著 『うる星やつら』 の本編においてかの残虐なる人喰い歌仙と勇猛果敢にも歌合せをされたときに詠まれた一首の冒頭であったことを記憶する次第であります。感無量。目薬を注して目を閉じ 「オレはいまモーレツに感動している」 と独り呟きつつ、伴宙太が抱きついてくるのを待ちたい気分だ。オレさまの脳内の百人一首はまだ羽化したばかりのヒヨコみたいな状態だが、何度か反復しているうちに自らの羽根で飛び始めるだろう。頼みもしないのに記憶の果てから度々飛んでくるようになるだろう。さてこの鳥には友達も必要である。継続的に何かを暗記し続けなければならない。