あい間を見つけて 『ローマ人の物語』 の文庫版を細々と読んでいる。そろそろハドリアヌスの死期が近づいてきて、ついに幼いマルクス・アウレリウスの名前が現われた。JR総武線のドアに頭を擦りつけながら感動を噛みしめる。けれども、彼が皇帝として登場するのはハドリアヌス帝の2代後、塩野本でいえば、この次の ”すべての道はローマに通ず” 編の、さらにまた次の ”終わりの始まり” 編においてなのである。来年には文庫版が出るはずだ。もうすぐ会えるはずだ。

ところで、この ”賢帝の世紀” 編に書かれていたことなのだが、イタリア語の読みではHを発音しないものらしい。だから、ラテン語名の 「Hadrianus(ハドリアヌス)」 は、イタリア人が読むと ”アドリアヌス” となる。そこでふと思ったのだが、これを 「Adrianus(アドリアヌス)」 と書くと、英語圏の人は、”エイドリアン” と読むに違いないわけで、つまり映画 『ロッキー』 に出てくるヒロインの名前ではないかと。うーむ。スタローン自身がイタリア系アメリカ人ということもあるが、ロッキーが 「イタリアの種馬」 という渾名をもつボクサーだから、当然エイドリアンもイタリア系なのだろうということは容易に想像できたが、実は映画の細かなところにも地中海が見え隠れしていたのであるなあと今更気づかされたりしている。