午前中は借りてきた 『TRICK』 を観る。山田奈緒子は3話目でもう ”上田” と呼び捨てにしている。

電話の状態に進展がないので、とりあえずメールが使える義妹に状況だけを報せておいて、昼頃から身支度をして、駅前のショッピングモール内にある電気屋に行ってみる。なかなか手ごろな機種がなく、悩んだ末に、現品限りのヤツを表示価格の1割引で購入する。箱がないため梱包材で適当にくるんでもらった。それを腕に抱え、図書館にも寄って、画集を数冊とCDを3枚借りてカバンに詰める。さらにGEOにも寄って 『TRICK』 の続きを2本借りる。もともと予定がなかったとはいえ、せっかくの3連休なのに遠出もできず、妻は退屈そうな表情をありありと浮かべながらも、この状態に一生懸命耐えている様子である。ちょっとだけ喫茶店に寄ってコーヒーを飲み、雨の降らないうちに帰宅する。

さっそく新しい電話機を接続してみると、恐ろしいことに旧い電話機と同じ反応をしはじめる。初期化して回線を自動設定させようとするとずっと迷っている。受話器をとってもツーともカーともいわない。戦慄する。現品限りの商品だからか、などとは疑わない。こちらの診立て違いだったのである。故障したのは、あるいはスプリッタかも知れない。なぜその可能性を疑わなかったか。愚かにもつい過去の落雷の記憶に踊らされて、無意味に新しい電話機を買ってしまった。○| ̄|_

近所まで自転車を飛ばして公衆電話を探す。5分ほど漕いだコンビニの軒先に目標発見。そこから 113 をコールしてみる。”……落雷による故障の問い合わせで電話が大変混み合っています……” とかいうメッセージが聞こえてくる。やっぱりか。待てども待てども、同じメッセージが周期的に流れてくるばかりで相手は出てくれない。やられた。非常にやっかいなことになった。一旦電話を切って、自宅に電話してみる。話し中の信号が返ってくる。今度は 114 にかけなおしてみる。自宅の電話番号の状態を確認してみると、受話器がはずれている可能性があります、というメッセージが返ってきた。通話中のステータスでなければ、電話料金で揉める心配はなさそうだ。どうして良いかわからないので、とりあえずコンビニで缶チューハイを買って飲む。

すっかり良い気分になって帰宅。どうせ人間は孤独なのだし、電話が通じても心が通い合わなければ意味がないのである。妻に命じて酒宴の用意をさせ、ビールを飲みながら 『TRICK』 の続きを眠くなるまで観る。相当な力作だと思う。蒔田光治とかいう人はえらい。