風が強い。しかも、どこに向かって歩いてもアゲインスト。
その強風に混じって、セミたちの悲壮な鳴き声が聞こえてくる。

人間は、自分がだいたいどのくらいで死ぬかということを知っている。
死を知覚することで、時間の概念を発明し、文明を築いたといっても過言ではない。
しかるに、このセミの声はどうしたことか。いつにも増してフォルテシモ。
残された時の少なさを、彼らはすでに悟っているかのようである。本能なのか。
セミたちは死を予感しながらも、最後までラヴソングを熱唱している。
これ以上ない命がけの演奏だ。最高のライブだ。日本人はくだらないJ−POPを
聞くくらいなら、セミの断末魔を聞け!

……とまあ、
小遣いが底を尽きた今日この頃を、少しでも豊かな気分でやり過ごそうと、
ジタバタしているわけである。