帰宅後、また留守電に図書館から 「返せ」 とメッセージが入っていた。
借りているのは1冊だけだが、確かに返却日から1週間が過ぎてしまっている。
普段なら多少の延滞には目をつぶってくれるのだが、後ろに予約が入るとたちまち
取立てが厳しくなる。誰かは知らぬが……そうか、この本が読みたいのか。
読みたがっている人がいると聞くと、なんだか読まずに返すのが惜しくなってきた。

仕方が無いので、夕食後、風呂に入って、明日の準備を済ませ、戸締りをし、
戸締りにはまだ早いと主張する妻と口論し、テレビを点けて 「ズバリ、言うわよ」 と
細木数子の口真似をし、すぐに飽きて歯を磨き、パソコンをつけようか悩んでやめ、
ふと台風7号がまだ来ていないことに気づいてあきれ、ベッドに入って横になり、
ぜんぜん眠れないことに怯え、ヒツジの数を数え、執事の数も数え、やがて退屈になり、
それから図書館で借りた、例の読みかけの 『やさしいJava』 を少し読んで寝る。