また本を買った。
文庫を2冊と雑誌を1冊買った。しかも今すぐ全部読みたい。

未読の書籍についての無責任な言及は控え、現在読んでいる本について書き残す。
いまは行き帰りの車中では 『フランケンシュタイン』 を読んでいる。
購入してからだいぶ経つが、中間に新書など数冊を挟んだ関係で、
しばらく中断してしまっていた。

映画などでお馴染みのフランケンシュタインだが、原典に触れてだいぶ印象が変わった。
幾重にも入れ子をなして告白者が替わっていく点は、構成的に無理があることも否めないが、
とにかくこの物語は、とうていホラーなどというカテゴリに収まる部類の作品ではない。
立派な文学的世界遺産である。

ちなみに、フランケンシュタインという名前は、怪物そのものを指しているように誤解
されがちだが、実際にはその怪物を創り出した人の名前である。ある一章では、
怪物の創り主であるフランケンシュタイン氏に対して、怪物がその憤りをぶちまけている。

  ”どうしてそんなふうに命をもてあそぶことができるのだ?
   おれに対して負っている義務を果たすがいい、そうすればこちらも、
   お前と人類全てに義務をつくそう……”

  ”神は哀れんで人をみずからの姿に似せ、美しく魅惑的に創りたもうた。
   だがこの身はお前の汚い似姿で、似ているからこそいっそう身の毛も
   よだつのだ……”

そういって罵る怪物にも、罵られているフランケンシュタイン氏に対しても、
読む側は同情せずにはいられないのだ。
シェイクスピアがこの作品を読んだら、きっと地団駄踏んで悔しがっただろう。

もしも 『フランケンシュタイン』 が、映画化などされていなかったならば、
原作は今よりも、もう少し広く読者を得ていたのではないかと思われる。
この世の過去と未来には、造られた側の論理だけでは解決できない問題が山積しており、
人類がフランケンシュタイン氏によって創られた怪物でないという保証も、
また怪物を創り出すことなどあり得ない崇高な存在であるという保証もないのだ。

ていうか、きちんと読み終えてから感想を書くべきか。