朝7時に目が覚めた。ここ数日、毎日5時間位しか寝ていない。
いまも絶対に眠いはずだと思いながら、いま寝るぞ、もう寝ちゃうぞと思いながら、
しばらくベッドに横たわっていたが、天気の良さに神経が反応してしまって、
やはり起き出すことにした。

妻も起きてしまったので、涼しいうちに二人で家事などを済ませ、
借りているCDをパソコンに落とし込んだり、さらに日記を整理したりしていたら、
いつの間にか昼を過ぎていた。

妻は、スポーツクラブに行ってしまったので、オレさまも炎天下をジョギングする。
寝不足が祟っているのか、少し身体が重いような気がする。あまり先を急がずに、
スピードを抑え、距離だけはこなすように、じわじわ走る。筋力ではなく精神力を
鍛えるためのジョギングになった。

どこかの庭先の犬もぐったりして吠えない。子供が3人、川への侵入を防ぐ柵を越え
て水辺で遊んでいる。手網で小魚をすくっているらしい。やがて3人揃ってズボンを
下ろしてオシッコを始めた。微笑ましい光景であるが、この川の魚や家鴨にだけは
生まれ変わらないように気をつけることにする。日陰を縫うようにしながら、
約4km走って帰ってくる。

シャワーを浴びたのち、『ウィニング競馬』 を漫然と観る。
ラントゥザフリーズだの、シアトルユーだの、アンドゥオールだの、懐かしい名前が
出走枠のなかに見つかって、漫然と応援してみたりする。

この時期は、降級の4歳馬か、上昇気配の3歳馬に人気が集まる。
例えば、福島10Rの田舎館特別には、3歳馬でついこの間まで大作君がPOだった
フサイチセイシロウの名前が見られたが、やはりそこそこに人気を集めていた。
しかし勝ったのは、同じ3歳馬で1番人気だったゼンノゴウシュウだった。名前の
とおり南半球生まれで誕生日は8月だそうだ。北半球の馬たちよりも3ヶ月以上
遅く生まれたということは、3ヶ月前に時間を遡って考えると、これからトライアル
を使ってクラシックを目指してやろうという時期である。よくわからんが、この馬は
まだまだ強くなるのではないか。

田舎館特別を実況したアナウンサーも、
先週の矢野アナウンサーみたいに、

「えー、イナカダテ特別を勝ったのがナカダテ騎手だったということで……」

と言い難そうに言葉尻を濁していた。
面白いな 『ウィニング競馬』 は!

函館のメインの大沼ステークスは、オレさまが応援するラントゥザフリーズがだいぶ
頑張ったが、ゴール手前でカフェオリンポスにあっさり差された。まあ、あれだ。
やはりカフェオリンポスには勝てないだろうと思っていた。3着がアンドゥオール

福島のメインの安達太良ステークスは、オレさまに縁のあるシアトルユーが勝った。
POG期間を過ぎると、たいがい指名馬に興味を失ってしまう薄情なオレさまだが、
この馬だけはいつも応援している。POG期間には、この馬に何度か元気づけられた
からだ。いまもこんなふうに健闘している姿を見られるだけでちょっと嬉しい。

阪神のメインはグレートジャーニーに注目が集まっていた。まだ条件馬だったのか。
見せ場はあったが、ゴール手前であっさり差されて4着。
ワンパンチ足りないのは昔からだ。

新馬戦で注目すべきは、阪神で勝ち上がったエイシンアモーレ。なかなか強そう。
父がエイシンワシントンで、母父がサンデーサイレンス牝馬
この、母父SSというのが、今年も牝馬戦線を騒がせるのではないかとオレさまは踏ん
でいる。

ちなみにその後、”エイシンワシントン” でググってみたら、ウマ占いの結果という
ページがヒットした。トップを探して、占ってみたら、
オレさまは 【フサイチペガサス】 タイプだったので、ちょっと嬉しいからURLを
メモしておく。→競馬の王様。

『ウィニング競馬』の解説者たちが、宝塚記念の予想をしているあいだに、
どうやら眠ってしまったらしい。やはりオレさまは眠かったのだ。
目が覚めたら、妻がスポーツクラブから帰ってきていたので、徐に戸締りを始めて、
妻を伴って出かける。駅前の居酒屋のサービス券があったので、そこで飲むことにした。
主にビール。3時間ほど飲んでいたが、2人で5000円くらいで済んだ。

夜は、O谷君に借りっぱなしだった、大長編ドラえもんを3冊読む。
1巻目から9巻目まで読んできて、どうも微かな不自然さを感じ続けていたのだが、
少し気がついたことがある。どんなに地球外生命や未来人や地底人から侵略を受けて、
どんなにのび太たちがそれらと対立し戦っても、のび太が実際に住んでいる社会において
ただの一人も犠牲者が出たことがないのだ。これは表現上少々問題があるのではないか。

毛沢東は 「無血革命などあり得ない」 と言ったそうだが、おそらくその言葉は正しくて、
ひとたび争いごとを始めたが最後、犠牲者を出すまでやめようとしないのが人間である。
だからこそ、普段から争いごとを避けるために全力を尽さねばならぬゆえに、現実世界
ではさまざまな葛藤が生じているのだ。いくら戦争をしても自分の家族や友人や同郷人
に被害が及ばないという、このあまりにも虫が良すぎるドラえもん的空想は、少年少女を
して闘争までのハードルを低く設定させてしまうオメガ因子となるのではないか。

そもそも、のび太たちのすべての行動は、たとえトラブルが発生しても、大人との対話は断絶
した状態、大人に話しても理解され得ないとする前提がストーリー展開上の土台としてある。
そのうえで、のび太ドラえもんへの依存度は非常に強く、かつ、のび太自身は彼の周囲
に横たわる現実問題からは逃避してばかりいる。まるで、現実のこの社会に見られる
悩み多き少年少女たちの典型を見るようではないか。

困ったことに、日本ではほとんどの子供達がこの作品を観て育ってきている。しかし、
ドラえもんは、マンガ史上最大級の危険な書物である。これは子供が読むべき本ではない。
今すぐR指定にするべきだ。「SFだから」 と割り切ることのできる年齢になるまで読ませ
てはならぬ。これは社会生活に疲れた大人が心を癒すためだけに有効な書物なのである。

妻に、そのように説明しながら、
第10巻以降も慎重に、最大限の注意を払いながら読み進めていくことを約束する。