前の晩、絶対に6時に起きようと心に決めて床に就いたので、
今朝は6時に目が覚めた。念のため仕掛けておいた目覚まし時計のアラームを鳴る前に止める。

予約しておいた人間ドックのための資料提供に全力で協力しつつ、
スーツに着替えて7時には家を出、8時30分には健診センターに到着していた。

受付で問診票と資料を渡し、代わりに受診票を渡されて促されるままに更衣室に向かう。
囚人服に着替えてすぐに採血。血を抜かれながら、オプションで直腸検診が受けられるがどうするかと
聞かれたので、なんでもやってくださいとお願いする。看護婦さんの涼しげな表情に見惚れる。
さらに採尿、胸レントゲン、心電図、配電図、超音波、アララギ派、身長、体重、斤量、肺活量、生活力、
血圧、視力、聴力、知力、体力、時の運、眼の写真、いろいろやる。

そしてメインイベントの胃のレントゲン。
はい。発泡剤、飲んで。これバリウム。飲んで。ささ飲んで。ぐーと。ぐーと。はい。ゲップは我慢してね。
さあ、始めるよ。さあ忙しくなってきたぞ。撮影するからね。脱いで。いや……スリッパ、脱いで。
その機械の上に乗って。そう。僕は向こうの部屋に行くからね。楽にして。(マイクで)準備はいいかい。
じゃあ。左向いて。そう。ぐるーと回りましょう。(機械の台も動きだす)ぐるーと。はいそこ。息止めて。
いいよー。いいよー。はい今度は右向いて。はい、ぐるーと回ります。はいストップ。ちょっとこっち向いて。
もうちょっと。いいよー。そのまま。大丈夫。はいじゃあまた左。回って。いいよ。とてもいい。
ストーップ。ストーップ。こっち向いて。はい。また右向いて。左足を少し前に出して。もう少し前に出して。
いいよー。もう少しだからね。はい。息止めて。息止めて。息止め………………………………プハーッ!
僕も息止めてた。けっこう苦しいね、これ。はい。また左。ぐるーと回って。よし。うん。そこ。いいよー。
はいどうも。おしまい。長々とお疲れさま。ちょっと長くなったのはね、胃に潰瘍みたいな影が見えたから。
これで口拭いて。だめだめ。あそこに鏡あるから。ああ、まだ顎のところにバリウムがついてる。

やれやれ、やっと胃のレントゲン撮影が終わったと思ったら、
最後にオプションの直腸検診が待っていた。うーむ。ちょっと痛かったけれども無事に終了。
大したことないじゃん。こんなの。

ひと通りの検査が終了して、問診を受けるまでには1時間程度の猶予が要るとのことで、
受付で食事券を渡され、指定のレストランで昼食を摂るように指示された。
健保指定のレストランでは、コース料理が用意されていた。Gパンでこなくて良かった。
美味しいパンにはオリーブオイルが付いてくる。冷たいブラッドオレンジ。海鮮サラダ。トマトパスタ。
ちょっと水を飲むとすぐに注ぎ足してくれる。メインディッシュの若鶏。パンのお代わり。
3種類のデザートから選んだのは洋ナシのムース。そして最後に下剤。

健診センターに戻って医師としばらく話し込む。
最近の医療の現場はオンライン化が進んでいて、胸のレントゲン写真はブラウザから見られるのだ。
お医者さんもマウスを片手にブツブツ言っていたかと思うと、ふいにこちらの眼をじっと見つめながら、
懇々と諭すように健康の大切さを訴えたりする。

昼過ぎにはすべてのプログラムが終了して健診センターを去る。
それから夜まで、下剤の威力に苦しめられ七転八倒を繰り返す。

皐月賞の枠順が確定。
ローゼンクロイツエイシンヴァイデンは仲良く7枠に納まった。
しかも2頭の間にかのディープインパクトが挟まれた状態となっているではないか。
してやったり。包囲網の完成である。スタートに注目。