予定休暇。はっきりしない天気の行方を確かめに散歩に出る。行き慣れた書店をブラつき、昼の居酒屋で定食を食べて帰ってくる。帰り道で火事場に遭遇。出火元はアパート二階の角部屋のようだがすでに鎮火していた。集まった消防車は眼で数えられるだけでも15台。他にパトカーと救急車が1台ずつ。このくらいは必要ということ。
一旦帰宅して少しゴロゴロしていたが、夕方から出直してバスに乗り、月例の読書会に出席する。テーマは江口渙『わが文学半生記』。最近、講談社文芸文庫から復刊されていたが、同シリーズの例に漏れず、すでに絶版の状態だったので図書館で借りて読んだ。読書会で採りあげられるまでこの江口渙という人を知らなかったのだが、ある時期の文壇において、トキワ荘でいうところの寺田ヒロオのような役割を果たした人なのかも知れない(比べて良いかわからないけれども)。文学だけでなく、ロックでも、アートでも、スポーツでも、マネーでも、風のなかの昴、砂のなかの銀河、どんな人の集まりにもこのような役回りを引き受ける人は確かにいて、講談社文芸文庫で復刊されてのち絶版なのですと想いを廻らせながら電車とバスを乗り継いで帰る。温かい雨が降っている。