宇宙では、あなたの悲鳴は誰にも聞こえない

朝7時起床。しばらくぼーとしたのち、8時から『ゲゲゲの女房』を観る。自分が”マンガ読み”であるせいもあるかも知れないが、VTRを駆使してまでNHK連続ドラマを見続けたのはこの作品が初めてである。

天気も良いし、サイクリングがてら多摩六都科学館へ行ってみようかと持ちかけてみると、妻も「そげですね」と涼しく同意してくれたので、さっそく自転車2台で炎天下をかっ飛ばす。汗をかくのが心地よい。この数週間、ずっとこんな日を待ち望んでいた。

30分ほどペダルを漕ぐだけで辿り着けてしまう多摩六都科学館は、どちらかといえば空いていた。案内係の人の見解によると、こういう施設は天気が良いときほど空くものらしい。
特別企画の大昆虫展とプラネタリウムが目的だったが、とりあえず常設展示の、一番最初に観せられたスーパーカミオカンデの模型の前でしばらく考え込んでしまうことになる。物質や宇宙の成り立ちなど、誰かにちょっと聞けば分かりそうなものだが、それができずにいる人類とはなんと孤独な存在だろうか。まあ、いいか。

地学展示室では、東京電力主催「サイエンス・グランプリ」の受賞作品が展示されていた。そのなかのひとつ『クロオオアリの観察』は、交尾が済んだ女王アリ1匹をアントクアリウムに放り込んで日々観察したもので、良く記録できていて感心させられたが、資料を眺めながら、最初の卵が孵化するまでの女王アリの胸中に想いを馳せたりするのは、やはり斜に構えた物の観方だろうか。あまり熱心に女王アリの写真を見ていたら、係の人が近づいてきて、「これに似たお話が『エイリアン』 という映画なのですよね」 などと言うものだから、「そげですか」と答えつつ、今度は女王エイリアンの胸中にも想いを馳せてみる。”In Space, No One Can Hear You Scream.(宇宙では、あなたの悲鳴は誰にも聞こえない)” という映画のコピーがさしていた ”あなた” とは、実は彼女のことではなかったか。

多摩六都科学館はなかなかに広くて遊び出があった。2時間もいるうちにぼちぼち空腹を覚えたので、結局、プラネタリウムは観ないで帰ってきてしまった。後で知ったのだが、入場券があればその日は何度でも再入場が可能なのだそうだ。そげだったか。