週末の朝にしてはいけないこと。それは、メールの整理である。つい魔がさして、yahooの迷惑メールを整理してなどみようなどと、つい魔がさして、思いついてしまったのである。不毛な作業だった。それでも、件名で並べてみたり、アドレスで並べてみたり、幾許かの楽しみもある。同じ件名でさまざまなアドレスから流れてきていたり、同じ差出人からさまざまな件名で届いていたり、同じ差出人が同じ件名で何度も送ってきたり。そのうちに病院に行く予定があったことを思い出し、慌てて中途で放り投げて家を出る。なんとか受付終了の刻限に間に合って、待合の椅子に投げ出されていた 『週刊新潮』 にひととおり目を通し終え、北杜夫の長女がエッセイを連載していることを忘れずにメモしていたところで名前を呼ばれた。10分で診察が済んで帰宅。

今夏はじめてと思われるセミの鳴き声を耳にする。原油価格の高騰につられてアブラゼミも高唱しているのに違いないわけだが、まあいいか。「聴く」 という字は、「耳偏に十四の心」 と書くわけで、そろそろエヴァにでも乗ろうかという複雑な年頃の男子が 「逃げちゃだめだ」 と己に言い聞かせるような必死さでセミの声にも傾聴するわけである。逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ……。

 あぶらぜみ啼きつるかたを眺むればただ竿竹のフシぞのこれる

忙しくて、今日も貸本屋に行けなかった。