個人的にややショッキングな出来事に遭遇。とても小さな事件だったが、例えば建物の壁から水が染み出しているのを発見してしまったときのような、あるいは何気なく咳を一つしてみたらハンケチに赤い点がついているとか、デートの最中に彼女が髪をかきあげたときにヘッドホンが見えてしまったとか、本質的な重大さを認識するのには充分に足りる些事だったのである。人生の意味とは何なのか。こんなことをまだ疑いながら生活してゆかなければならないのである。

沈鬱な気分で業務時間を終えたところで、チームのメンバーに誘われてラーメンを食べて帰ることになる。ラーメンのつもりだったのだが、居残っていたメンバーが皆行くということになってラーメンは中止。こぞって駅前の居酒屋まで集団下校。沈鬱な気分のどん底にいた自分としては渡りに海賊船である。諸行無常という言葉は引き出しに仕舞っておいて、酒盛りで永遠の憂さ晴らしにせっせと励む。ときには乞われるままに愚妻との馴れ初めなどを懐かしそうに語ってみたり……もう十年以上昔だ。俺は一人で売り出そうと躍起になっている青二才だった。バカやって粋がった挙句の果てに俺はゴート札に手を出した……(ここでクオキさんにネタがばれて終了)。ビールお代わり。