鉢植えには西洋おだまきの真白な花が、残酷な天使のように羽根を広げて窓辺からやがて飛び立つ瞬間を待っているわけで、それはそれとしてもだいぶ気分を取り直すことに成功して、春の小川はさらさらさらさらと調子良く浮かれつつ、心のゴンドラが水草の絨毯の上をひらひらひら滑り行くのを追いかけ追いかけジョギングなど走っているうちに、昨夜の居酒屋で何杯も重ねた焼酎のことが思い出されて失速。昼過ぎからは、妻に付き添われ冷や汗を流しながら散歩。2駅分ほど歩き空腹を覚え、目に入った 『松屋』 で牛めし野菜セットを喰らい、なんだか心細い気分に抱きすくめられたまま、また知らない住宅街を歩いて帰る。鬱々と眩しい夕陽を追いつめて行くうちに、突然、マーラーが聞きたくなり、どうしてもマーラーで無くてはならぬような気がして閉館まぎわの図書館に駆け込み、そこで交響曲第6番 『悲劇的』 とかいう、それはもううってつけのCDを見つけ抱きしめて帰る。