午前中、妻が町内会の小田原評定に出席しているあいだは、インターネットで人生を検索していた。妻の帰宅を合図に家を出て、できるだけ知らない道を2時間くらいは歩き倒した。散髪したせいでアタマが冴えて仕方が無いので、帽子を買いたいのだがと妻に訴えながら歩くのだが、日曜日の住宅街には、老人を連れた柴犬や、乗り捨てられた補助輪付き自転車や、門前にわだかまる薔薇の枝枝枝々が延延延々と繰返し現われては繰返し消えるばかりで、どこに手頃で洒落た帽子を扱っている瀟洒洋品店があるというのか、気配すら感じられないではないか、と。そうこうしているうちに迷い込み慣れたショッピングモールに辿りついたので、もう帽子は要らない気分になって、むしろ空腹のためアタマが冴えて仕方が無いので、どこかで食事をしようと提案してみたところ、意外にも互いの持ち合わせが非常に少ないことが判明した。とりあえずお握りを買ってモール内のベンチに座って食べる。帽子を買うなど夢のまた夢。書店に立ち寄って 『徒然草』 など立ち読み。第五十八段。帰りはさらに寒くなってきたので、電車に乗ろうかとも相談したが、歩いて暖かくなる方が良いような気がするので、また2時間くらい歩いて帰宅。帰宅するなり、自分だけスポーツウェアに着替えて、再び外に出てジョギング。黄昏を胸に浴びながら万物の根源に向かって走る。帰り道にはまだ明るい青空に月。その忽然と浮かび上がった孤独の象徴をどこまでも追いかけながら走る。1時間ほどうろうろ走って帰宅。ビールを飲んだり、ビデオを観たり、眠ったり、”篤姫”を観たり、眠ったり。