最近、講談社学術文庫から復刊された、丸山圭三郎の 『言葉・狂気・エロス』 という書籍は、かつて講談社現代新書として発刊されたもので、昔の凝った装填のものが自宅の書棚にある。ついでに言えば、吉田敦彦の 『日本神話の源流』 という著作も、同じ経緯で新書だったものが講談社学術文庫として最近復刊されている。これも同じく自宅にある。さらに 『易の話』 という本も、こちらは少し前に学術文庫のほうを買って読んだのだが、どうやら元は新書だったのを学術文庫から復刊させたようだ。うーむ。かつて新書として出版された書籍を、学術文庫のような新書の倍ほども高価なラインナップで復刊させるという出版社の考えはいささか腑に落ちない。ハードカバーだったものが廉価な文庫版で再リリースされるという通常ありがちな流れとは明らかに違うわけで、新書と学術文庫との間にどんな関係があるのかも気になってくる。うーむ。どうなっておるのか。

そういえば、中央公論社の 『肉食の思想』 などは、かつて新書だったものがより廉価な中公文庫として復刊されている。梅原猛の 『地獄の思想』 なども同様に中公文庫で復刊されていた。ていうか新刊のように見せる復刊本が多すぎるというこの実態についてはどうなのか。どうなのかとはどうなのか、自分でもうまく言い表せない。

そういうわけで、もしかしたらこれからは過去に出版された書籍でもロングセラーとなり得る著作については、数年ごとに廃刊と復刊を繰り返しつつ、様相を変えながらじわじわと高価なものとなって行こうとしているのではないかという妄想がいま脳裏をよぎった。何故だかは判らないが何者かの陰謀を感じる。うーむ。それにしても、ナントカ学芸文庫とかナニナニ学術文庫とか、定価が千円を超えるのがあたりまえの文庫というのはどうなのか。どうなのかとはどうなのか。