午前中は日記の整理など。午後には外出。夕方帰宅して再びネットに繋ごうとすると、プロバイダ側が応答しない。落ち着いてパソコンを落としたり、モデムのジャックを指し直したりしてみるが、どうしても繋がらない。いったい何が起こっているのか。何らかの障害情報を得ようにも、携帯電話も持っていないので、このパソコンがインターネットにアクセスできなければどうにもならない。靴がなければ靴を買いにいけないような滑稽さで孤立している。こんなときには、例えば鉄道の振替輸送のような、他のプロバイダへの振替通信サービスのようなものがあると助かるのだがとため息ついたり。
それにしてもどうしたものか。ブログが更新できなくなる程度のことなら大した問題ではないのだが、ネット上の新しい情報にアクセスできないことに対しては、まるで窓のない自動車で高速道路を走っているような不安と閉塞感を覚える。あるいは、いまこの地上で自分と妻だけがインターネットにアクセスできないのではないか。病気になって初めて健康の有り難さを知るというが、これはそういう類の感触ではない。むしろ光が消えた瞬間に闇の中にじわじわと魔物の姿が浮かんで見えてくるような恐怖である。自分は間違いなくインターネットに依存している。どうにかしてこの依存を軽減する方法はないものか。
とりあえず、どんな場合にも報告・連絡・相談こそは幸福に生きるための原則である。面倒であってもプロバイダに電話してみることにする。フリーダイヤルの向こう側は機械音声。人間に取り次いでもらうまでには悠長なボタン操作があって、なかなか用件を伝えるまでには至らない。焦りと躊躇いのせいで、何度か電話を切ってはまた掛け直したり。3度目くらいではっとして、もうすでに問い合わせ対応は始まっているのだということに気づく。これしきの操作で嫌気が差してしまうようならば実はそのトラブルは大したものではないのです、本当に助けが必要と感じている人ならばどれほどの面倒な手順にも耐えて必ず窓口まで到達しようとするはずでしょう。開き直って、機械の全ての質問に一つ一つ丁寧にボタンを押しながら答え終わったら、やっと窓口に転送してもらうことができた。夜明けの来ない夜はない。ゴールのないマラソンはない。ごちそうさまを言わない朝食バイキングはない。終電車のない山手線はない。けれどもすでに19時を回っているからということでゴ用件ハ録音てーぷガ受ケ付ケマスとか言いやがる。うーむ。ドギマギしながら早口でしかし落ち着いてトラブル内容と連絡先と般若心経を録音テープに吹き込んで電話を叩き切る。
それから深呼吸をして、あらためてもう一度だけ接続を試してみたら、どういうわけか今度は繋がった。どうなっておるのか。安堵しつつプロバイダに問い合わせなどしなければ良かったと思ったりしていたら、15分ほどした後にプロバイダから折り返しの電話があった。人間である。オレさまが連絡したことで回線断が確認されてすぐに復旧対応したのだそうだ。デアルカ。ADSLのランプが点滅しているときにはすぐに連絡して欲しいとのことだった。デアルカ。こちらとしては繋がればそれで良いし、実は電話経由の会話が苦手だったりもするので、原因など根掘り葉掘り聞くこともなしに形式的に礼だけ述べて電話を切る。回線断には困ったが、業者の応対はそれなりに良かったと思う。