良い天気。まだ桜が咲いていると信じつつ、妻を伴って所沢の航空公園に行ってみる。航空公園駅に着いてみれば、飛行機が見えたりして妻が浮かれている。とりあえず駅前の寿司屋で助六とバテッラを買って公園に向かう。判りづらい案内板を見る限り、相当に広そうな公園である。運の良いことに、公園の入り口付近に置かれているYS−11機の内部が特別に一般公開されている。子供の頃、毎年の夏休みと冬休みには、このプロペラ機に乗せられて四国の端に追いやられたものである。航空会社のほうも、子供の一人旅を ”ジュニアパイロット” とか呼んでみたりして、すっかり商売として定着させていたわけだが、子供のほうでもついその気になって、ようし将来はパイロットになろうか、などと今にして思えばある程度空気は読めていたわけだから、多少の適正はあったのではないかとも思ったり。それにしてもこんなに小さかったか。もちろん見学させてもらうことにする。

本当に狭いコクピット内の想像以上に複雑な計器類を見て、パイロットを目指さなかった己を賢明だったと褒めてやりつつ、妻の手を引いてYS−11のタラップを降りるとふたたび春の陽気に笑顔もほころぶ桜舞う航空公園に帰還。ひとまずほっとしてみてから、いよいよ足早に公園の中央を目指すと、徐々に桜の群れが見えてくる。まだまだいける。多くの花見客たちもそう思っているに違いない。広い園内に踏み込みつつ確かな手ごたえを感じている。人混みに紛れて自分達も適当に陣取り、助六とバテッラを頬張りながら生ビールを飲みはじめる。桜の花びらが舞い落ちる。ひらひらと舞い落ちる。生ビールを飲む。桜の花びらが舞い落ちる。うーむ。そのうち座っているのが勿体無く感じられてきて、ほろ酔い加減で園内をぐるりと散策したり、しだれ桜の下をくぐったり、ときどきまたその辺の芝生に腰を下ろして居眠りしたり。早目にパイロットを諦めておいて良かったとまた思い出してみたり。

夕方帰宅して、シリーズ第6作 『座頭市千両首』 を観る。御用提灯の火の海で真っ赤に濡れた仕込杖! うーむ。今回は国定忠治が出てきたりして、お祭り的な雰囲気が漂う。座頭市もほのかに悪乗り加減。国定忠治役の島田正吾の声がとても渋くて印象的。「てめえ……二人がオレの身内と知ってて……斬ったのか?」 まるで浪曲を聴いているようで、観ているこちら側も自然に遠くを見る目をしていたり。他にも出演者の顔ぶれが賑やかで、城健三郎(若山富三郎)や、坪内ミキ子がまた出演している。しかもどちらも前回の出演時とは異なる役柄。手塚治虫式か(意味不明)。城健三郎扮する用心棒とは最初に賭場で勝負することになるのだが、ここでの座頭市の居合いがなかなか痺れる。もちろん映画の最後にも二人の対決シーンは用意されていて、こちらはさらに凄まじく見応え充分。うーむ。座頭市。また次のビデオを借りてこなければ。