思ったより天気が良いので、世界征服を企んだり、本を読んだり、昼寝をしたりする。午後3時頃に目が覚めたとき、ついに出かける決心をする。ていうか親戚の家に集合がかけられていた。

私鉄沿線のありふれてローカルな駅で降りる。駅前の淋しげなロータリーに面して小ざっぱりした書店を発見する。初めて入る書店ほどワンダーな空間はない。妻がいますぐコーヒーを飲みたいというのをなだめつつ、膝と指先を震わせながら書店に入ってみる。当たりだった。一見してフツーの本屋なのに 『夜想』『トーキングヘッズ叢書』 なんか置いている。隣で営業している昔ながらのケーキ屋さんの軒先では煤けたペコちゃんが舌舐めずりして子供や主婦をたぶらかそうとしているというのに、その向かいのロータリーの噴水はずいぶん昔から枯れてしまっている様子で先月には文化庁から発掘調査隊が派遣されてきたがやがて隊員全員が行方不明になったまま現在に至っているというような妄想ばかり湧いてくるというのに、この書店には進歩的でコアなアニメ関係の雑誌さえ揃っている。うーむ。

とりあえず所持金が少なくて良かったと胸を撫で下ろし、何も買わずに妻とマクドナルドへ行ってコーヒーを飲み、それから親戚の家を訪ね、思い切り飲んで食べて帰ってくる。