さて。じゃあ、競馬雑誌でも立ち読みしてやろうか、とコンビニへ行ってみる。そうして、Gallopとか競馬ブックとか開いてみることにする。なにしろ母ルビーバーミリオン (通称:”牛”) のデビューが近いというのだから、何かしらの記事が載っているに違いないわけで、期待をしてみたわけなのだが、そこで我々の見たものは……! という感じで本来ならコマーシャルを30秒程度挟むくらいのことをしなければ息がもたないわけであるが、要するに、載っていない。牛のかけらもない。代わりにMEGUちゃん指名のアドマイヤデュークとかいうの (そういえば、今年はアドマイヤゴルゴとかいうのもいる) が注目されていて、なんだかがっかりして帰ってくる。

腕がいよいよ重くなってきたので、会社を早引けして、吉祥寺の整体に行ってみる。とても物腰優雅な女性の先生である。最初の触診で 「だいぶひどいですよ」 と言われて、そうでしょうとも、と心の袖で心の涙を拭ったりする。促されるままに、今度は診察台にうつ伏せになると、先生はさわさわとやわらかく、まるで砂糖でアリの行列でも誘うように、オレさまの背骨のひとつひとつに小声で号令を与え始めた。とても優しい。なんだか想像していたのと違うので拍子抜けする。格闘技ばりにネックブリーカーとかかけられる覚悟できたのだが、なんだか洋服の仕立て屋にでもきたみたいだ。

しばらく身体を預けてぼーっとしていたら、やがて先生はゆっくりとオレさまの頭を抱いた。力を抜いて、と言われたのでその通りにする。しばらく弄んでおいてから、グキ。やられた。それからまた、さわさわと背骨の教育。また頭を抱いて、弄んで、グキ。また背骨を均す。しばらくして 「はい治りましたよ」 と起こされた。いちばんやって欲しかったことをやってもらえたのだと気づいて満足して帰ってくる。腕は相変わらず重いけれども。