ノーザンテーストならぬノー残業デーなので、刻限の18時30分に達した時点から、さあ帰ろう、もう帰ろう、いま帰ろう、と何度も提案しているのにもかかわらず、後輩のO田女史は、それから 20時30分 を過ぎてもパソコンの電源を落とそうとしなかった。

この理由として考えられるのは、

  1. 仕事に対する責任感が非常に強い
  2. 先輩の言葉を軽んじている
  3. パソコンの電源の落とし方を知らない
  4. 左右の耳が聞こえない
  5. 誰かに脅迫されている

などが考えられる。

変な事件にまきこまれるのが怖くなってきたので、何も見なかったし、何も聞かなかったことにして、さっさと荷物をまとめ、逃げるようにして自分だけ先に退社してくる。危なかった。

ところが、どういうわけか、エレベータホールにはY山さんが待っていて、わざと同じエレベータに乗ってきたのである。もちろん口を利くつもりはない。むしろ、最も疑わしき人物の筆頭と睨んでいるので、そのまま同じ駅から同じ列車に乗り込みながらも、警戒態勢を弛めることはしなかった。かなり危険な状態に置かれていたのではないかと思う。

なにしろ本番を前にして、キャプテンベガの足手まといにだけはなりたくないからな。