朝、出社してみると、O田女史が飲み物を用意して待っていた。
にやにやしながら、いかがわしげなコバルトブルーの小瓶を掌で優しく撫でている。
いずれこんな時の来ることも予感してはいたが、確かにFFXIIのポーションだった。
FFなら何でも正しいと思っているO田女史の隣の席を与えられたときから、
こうした覚悟の必要を迫られてきたのである。

それにしても朝である。これがRPGであるなら、一日の旅が始まるところである。
冒険に備えてぐっすり眠った翌朝は、HPもMPも全回復しているはずでしょう。
朝からいきなりポーションというのは……いったいどんなパーティですか。
パーティというのは宴会のことではありませんよ。旅の仲間ということです。

近所のスーパーで、半ダースも買ったのだそうである。
スーパーもなあ。

要らぬわと言ったら、丁寧に紙コップに半分だけ注いでくれた。
茶道の心得のないオレさまでも、無下に断ることがはばかられる状況になった。
極北の深い海の色をしています。南洋の晴れた空の色をしています。
飲んでみると高麗人参みたいな(飲んだことないけれど)不思議な味がします。
オレ、いま、体、弱いのに。