今年も押し迫ってきた。TAD氏が ご自身の日記でやっておられたので、
オレさまも真似をして10大ニュースを考えてみる。

【第10位】 スムースバリトン骨折

……やめた。10大ニュースは中止!
パンドラの蓋を開けてしまったような気分だ。そういえばグッドネイバーは弱いし、
ディープインパクトは強いし、羽根を広げて部屋中を飛び回るヤブ蚊のように、
競馬についての悲しい思い出ばかりが後から後から湧いてくる。

うーむ。まあ、いいか。
続けてみる。

【第9位】 妻が町内会執行部防災部長に就任する

このため知らない人から街灯の修理依頼の電話が頻繁にくるようになった。
防災集会や夏祭りなどには、オレさまも引っ張り出されて手伝わされた。
防災部長の亭主ということで、少しは威張ったりできるのかと思ったのだが、
ついに下働きのまま任期を終えようとしている。

【第8位】 大長編ドラえもんシリーズを読む

O谷君に借りて少しずつ読んだ。読み進むにつれ、いろいろなことが判った。
オレさまはこれをマンガ史上最大級の危険な書物であると告発する。
「SFだから」 と割り切ることのできる年齢になるまで子供には読ませてはならぬ。
あとまだ3冊残ってるよう。

【第7位】 ブログ開設

キーワードで検索ができるようになることが最大の魅力だと思って、
4月から 『愛と忍耐と罵倒と反省の記録』 をブログにしてみた。
更新が楽になったが、自分のスタイスルには少し合わないような気もしている。

【第6位】 澁澤龍彦 『思考の紋章学』 をついに入手

絶版でずっと探していたのを偶然にも近所の古書店で発見したのである。
嬉しかったな。しかも実際に読んでみて、本当に運が良かったとあらためて思った。
もとより啓蒙書の類ではないのだが、この1冊に出会って急速に視界が開けたような
気がしたのである。あるいは、失いかけていた熱情を取り戻したとでもいうべきか。
これを読んだ後、本文中に引用されていた石川淳の 『紫苑物語』 を探すのが
また大変だったな。

【第5位】 いまさら能楽鑑賞する

なぜ能楽に惹かれるようになったのか、理由がよく思い出せない。
石川淳の文章の影響だったのかも知れないし、岡倉天心の理想のせいかも知れない。
とにかく様式や形式を楽しめてこそ大人ではないかと思うようになった。

「真の美はただ”不完全”を心の中に完成する人によってのみ見いだされる」

岡倉天心の言葉である。この言葉がオレさまの胸に張りついてしまった。
能は芸術として完成されているが、それはあくまでも記号的な完成なのである。
4月に初めて宝生能楽堂へ行ったときには、妻を伴わず一人だけで鑑賞したが、
なかなか新鮮な体験だった。今年は2回しか行かなかったが、来年はもう少し回数を
増やしたい。

【第4位】 いまさら易に興味を抱く

易の陰陽に象徴される対立関係は、たがいに排斥しあう関係ではなくて、
たがいに引き合う関係にある。なんという美しい思想なのか。
さすがは数千年の時を重ねて洗練を繰り返されてきた人類の財産である。
ここから暦にも興味が発展した。

【第3位】 いまさらスポーツクラブに通いだす

今年の前半には病気ばかりしていたので、少し体調が上向いてきたタイミングで、
8月からスポーツクラブに通いだした。通い出してから頭痛が無くなったのが
とにかく嬉しい。近頃は、健康がすべてに優先されるべきだと思い始めている。
他にも、割り箸は慎重に割るべきだとか、くしゃみをするときは姿勢を正そうとか、
小さな落とし穴にも気を使うようになった。かなり気が弱くなっている。

【第2位】 パソコンが一瞬壊れる

忘れもせぬ、9月18日である(忘れていたけれど)。
パソコンが壊れたと認識した直後は、”ウィンドウズ”に掛けるわけではないが、
本当に 「窓」 を失ったような息苦しさを感じた。幸い1週間ほどで、ディスクも
無事な状態で修理されて帰ってきたのだが、このとき初めて自分がパソコンに依存して
いることをはっきり自覚した。職業柄仕方がないことだと言いわけもできるのだが、
むしろこの依存状態から完全に解放されたいという衝動のほうが強かったりする。

【第1位】 数年ぶりに妻と一泊旅行をする

8月に日光へ行ったのだが、二人で外泊したのは本当に久しぶりだった。
地味だったけれども味わいのある旅だった。妻もオレさまも、このごろはスピードの
ある乗り物が苦手になってきたことと、大好きな鎌倉が日帰りの距離にあるため、
二人ともあまり遠出を思いつかなくなっていたのだが、この旅行で、本来は誰もが旅人
であることを思い出した。また来年もどこかへ行きたいと思う。

というわけで、10項目にまとめつつ、過去の日記を読み直しながら1年間を
振り返ってみたりしたのだが、ブログに書けない事件も多々あったことが思い出され、
年輪を重ねるごとに、生活に混入するスリルやサスペンスの濃度が深まっていくことを
改めて実感しつつある今日この頃である。なんだか膝がガクガクしてきた。