定時後は、本社の忘年会だった。
築地の 『治作』 とかいう、水炊きの店だった。そこそこの料亭。
飲んでるそばから仲居さんに注がれて辟易したが、料理は美味かったな。

2時間程度でお開きになって、オレさまは仕事が気になったので、
公衆電話から職場に電話してみた。M村君に取り次いでもらって、
何か話したのだが、途中で10円玉が切れてしまったので、
Y山さんに頼んで、携帯電話でフォローしておいてもらうことにする。

そのまま2次会へ突入。
築地の駅前あたりの店で、後輩達と口論しながら12時過ぎまで飲む。
慌てて駅のホームへ移動してみたものの、すでに終電は去った後だった。

久しぶり、あるいは10年ぶりかも知れぬ、朝帰りコースである。
一緒にホームに走ったはずのY山さんは、いつの間にかいなくなっている。
うーむ。逃げられたか。妻に電話して不確実性の時代について説明する。

後輩達とタクシーを分乗して、比較的慣れている八丁堀界隈まで移動する。
八丁堀にある 『白木屋』 あたりで、朝まで粘ることにする。
すでに食欲は満たされ、アルコールにも飽きていた。

仕事の話が好きな後輩ばかりで困るが、
おかげで始発電車を待つ間の数時間を退屈せずにすんだ。
朝5時になって、店員に店を追い出されたときにも全然眠くはなかった。
地下鉄が走り出すまでには、まだなお少しの余裕があったので、
皆で東京駅まで歩く。とても新鮮な気分だった。

睡魔がふいに襲ってきたのは、東京駅に着いてからだった。
そこから家までの道のりは、気が遠くなるほど長かった。