朝青龍やるなあ、とウキウキしながら1日を過ごす。
寝る前に、馬番連勝とワイドについて考える。

18頭立ての場合、COMBIN(18, 2)=153通りの馬番の組み合わせがある。
競馬ファンには、ワイド馬券でも馬連でも同じように最大153通りの馬券を
購入する機会が与えられている。

ワイドの当たり馬券は3つあり、馬連の当たり馬券は1つしかないから、
的中する確率は、ワイドの方が3倍高くなる。

馬連の的中確率  = 1/153
ワイドの的中確率 = 3/153

この的中率を同等にするためには、馬連の買い目の点数をワイドの3倍に
する必要がある。例えば、ワイドを1点だけ購入する場合に対しては、
馬連を3点購入することで釣り合う。
 
  1/153 + 1/153 + 1/153 = 3/153

同様に、ワイドを3点購入する場合に対しては、
馬連を9点購入することで釣り合う。

  1/153 + 1/153 …… + 1/153 = 3/153 + 3/153 + 3/153

さてここで、
馬連だけを買うA太君と、ワイドだけを買うB子さんについて考える。
(ああ、久々のよい子たちの登場だなー)
例えば、

 A太君が馬連で9点購入する
 B子さんがワイドで3点購入する

この場合、的中を期待できる度合いとしてはA太もB子も同等である。

しかし、A太の馬券は9点のうち1つしか的中が期待できないのに対し、
B子の馬券は3点すべてが的中する可能性を含んでいる。
もしも、それぞれの買い目が同じBET(例えば100円)だったとしたら、

 A太の払戻金 = 1点 × 100円 × 馬連の配当(a)
 B子の払戻金 = 3点 × 100円 × ワイドの配当(b)

となるため、二人の払戻金額が同じになるようにするためには、
馬連の配当(a)は、ワイドの配当(b)の3倍なければならない。

 馬連の配当(a) = 3 × ワイドの配当(b)

ところで、もともとA太はB子の3倍の点数の馬券を購入している。
同じBETならば3倍の投資金額になっているはずである。

 A太の全投資額 = 9点 × 100円 = 900円
 B子の全投資額 = 3点 × 100円 = 300円

このため、A太の払戻金額は、B子の3倍の額でないと同じ回収率とならない。
そのためには、馬連の配当(a)が、さらに3倍でなければならなくなる。
つまり、

 馬連の配当(a) = 3 × 3 × ワイドの配当(b)

馬連の配当は、ワイドの9倍でなければ釣り合わないのである!
おいおい、本当か? 騙されてないか?

ちなみに、ワイドを3点的中させるためにはBOX馬券のような買い方を
しなければならないだろう。これに対して、例えば軸馬を1頭固定して
流すような買い方の場合には、的中するワイド馬券は2点が限界である。
その場合は、

 A太の払戻金 = 1点 × 100円 × 馬連の配当(a)
 B子の払戻金 = 2点 × 100円 × ワイドの配当(b)

となり、

 馬連の配当(a) = 3 × 2 × ワイドの配当(b)

馬連の配当は、ワイドの6倍であって初めて釣り合うことになる。
同じ流し馬券を買う場合にしても、ワイドの6倍以上の配当がなければ、
馬連を買う妙味がないというわけである。うーむ。にわかには信じ難い。

ところが、実際の馬連の配当というやつは、
せいぜいワイドの配当の3倍程度で落ち着いているようではないか。
流し馬券の場合なら、

 A太の払戻金 = 1点 × 100円 × ワイドの配当(b) × 3倍
 B子の払戻金 = 2点 × 100円 × ワイドの配当(b)

という比較になる。
一見すると、A太の払戻金額は、B子の1.5倍になっているのだが、
実際には、A太はB子の3倍の金額を投入していることを忘れてはならない。

もしも二人が同じ金額だけの軍資金を持っていた場合、当然B子は、
A太よりも買い目が少ない分だけ、BETを高く設定できる。
例えば、A太が1点100円なのに対して、B子は1点300円にして
購入することができる。

 A太の全投資額 = 9点 × 100円 = 900円
 B子の全投資額 = 3点 × 300円 = 900円

このときの払い戻しは、

 A太の払戻金 = 1点 × 100円 × ワイドの配当(b) × 3倍
 B子の払戻金 = 2点 × 300円 × ワイドの配当(b)

同じ投資金額で、同じ的中条件で流し馬券を買ったはずなのに、
B子の払い戻し金額は、A太の2倍(!)になるという結果が導かれる……。

本当なのか?

もしもBOX馬券だったなら、B子の払い戻しは、A太の3倍なのか?

うーむ。

さらに、2人の軍資金が限定されていた場合、例えばそれぞれが3千円しか
持っていないとき、B子が600円ずつ ”流し” で5点買った場合には、
A太がB子と同じだけの 「的中する予感」 を得るためには、
200円ずつ15点も買わなければならず、そのうえ的中したときには
B子の半分しか払い戻しが受けられないのである。

 A太 200円 × 15点 = 3000円
 B子 600円 ×  5点 = 3000円

この状態で、二人に与えられた的中への期待度は同じなのである。
しかもなおB子のほうが、期待できる払い戻しの額は2倍大きいのだ。

逆に、同じだけの払い戻しを期待しようとするならば、
A太は1点の賭け金を現状の2倍の400円にしなければならないのだが、
軍資金は3千円しかないので、買い目の数を半分の7点に抑えなければ
ならなくなる。要するに的中率が大幅に下がるのである。

 A太 400円 ×  7点 = 2800円(的中率が低い)
 B子 600円 ×  5点 = 3000円
 
さらに、もしもB子が200円ずつ流し馬券で15点買った場合には、
本来なら45点も買わねばならないA太は100円ずつ(馬券は100円以下では買えない)
限界いっぱいに30点だけを買って(3千円しかないので)、B子よりも多めの不安に 苛まれながら
レースを観戦しなければならなくなる。しかも的中したときには、やはりB子のほうが
払い戻し金額は大きいという状態におかれるのである。

圧倒的にA太君不利。

もちろん、実際にはA太君とB子さんがどのような予想をするかによってこそ、
二人の勝敗が左右されるべきであることには違いない。

だから問題は、A太君とB子さんが同じ予想をしたとき、
つまり同一人物だった場合なのである。