情報処理試験が近いということで、つまりそこからの逃避ということで、
試験が終わった後の資格検定挑戦について話し合った。M村君は剣玉検定を受けようか
どうしようかと迷っているらしい。すでに2段くらいの腕前にはあると自負しているが、
少しブランクがあるということで二の足を踏んでいる。オレさまは12月にある歴史検定
をターゲットとして意識している。欲望のベクトル整理するのに良いきっかけとなる
はずだ。O田女史はすでに2級を取得している漢字検定の1級挑戦を検討中らしい。
本来は、そんなことよりも日曜日の情報処理試験のことだけを考えなければならない
境遇にあるはずの3人であるが、3人ともその話題だけには触れたくないと考えていた。

気がつくと英語の話になっていて、英単語についてはその構造を知ることでだいたいの
意味が分かるということで、オレさまが lonely という単語の構成は、one が左右の
壁にさえぎられて淋しそうだから 「孤独」 を意味するのですと報告すると、
本当は接頭語や接尾語の話をしたいM村君も、そういう意味では一番長い単語は smiles
で異論はありませんよね、と切り替えしてきたので、いやそれはやはり、
supercalifragilisticexpialidocious でしょうと言いかけたら、最後の …docious の
ところをM村君が唱和したので、二人して吃驚する。

supercalifragilisticexpialidocious という単語は、映画 『メリー・ポピンズ』 に
出てくるもので、なかなかにマニアックなネタのはずだったが、M村君自身も、
どうして自分がその単語を知っているのかが分からないと言ってうろたえている。
もちろん 『メリー・ポピンズ』 も観たことがないらしい。剣玉といい、英単語といい、
どうもM村君には不可解な部分が多い。どこかでショッカーに改造されたのではないか。

夜は、O西さん、O谷夫人、H賀ちゃん、とオレさまの4人で飲む。
恵比寿の 『イーネ・イーネ』 という店で、なぜそんな遠くへ行ったかというと、
アイスワインなるものを飲んでみたかったからなのである。

初めから終わりまでワインを飲み続けたという経験は初めてで、なかなかに厳しい
ものがあったわけだが、途中から、スイカが野菜なのか果物なのかという議論になって、
いわばコタツが家電なのか家具なのかという議論に近いものがあって、自明だが納得し難い
結論をどう受け入れるかが問題の焦点となっていたはずなのだが、酔っ払い同士延々と
お互いを説得できないまま朦朧としつつ高価なアイスワインを飲み比べてみたりする。