帰り道、電車に乗っていたとき、途中の駅から雪崩れ込むように彼は乗ってきた。
乗り込むなり、入り口の反対側のドアにすがりつき、両手で頭を抱えながら叫んだ。
のでがってわづゃー、ろろろ、ファファー、ガーがーがーぶーん、まるで頭の中の
もう一人の自分が何かを言おうとしているのを自ら必死で妨害しているようだった。
ぴゅーるるる、しゅーるるる、ど、どど、わおんわおんわおん骨! 骨! ほ・ね!

しばらく黙ってから、突然くしゃみをした。
そしてすぐに頭を抱えた。どうやら、びっくりしたらしい。

そしてまた、わ、わわ、わだだ、わだーん、んわー、と歌いはじめた。
オレさまはずっと彼の側に立って、いつ話しかけられても良いように身構えていたが、
ついにその機会は得られなかった。彼はひたすら意味不明な呪文を唱え続けている。
やがて、ミューミュー、ズバ、ズバーッ、と叫んだ後に小さな声で、えこだー、
ほうやー、ところざわー、と小さな声で呟いたとき、オレさまはついに彼自身の
言葉を聞いたような気がして、全身に電気が走ったのである。