じゃがいも焼酎は遺憾。ひと舐めしてから、遺憾、と思った。
悪酔いの予感を抱きながらも最後まで飲んだがやはりあれは遺憾。

電車を降りて、改札口への階段を昇る。
頭の上に 500ml のペットボトルを立てて平衡を保ちながら改札を抜ける中年を観る。
銘柄は 『まろ茶』 だった。アスファルトに気持よさそうに横たわる丸刈りの青年と、
その足元にしゃがんで一方的にしゃべり続けるひ弱そうな警官。
不意に近づいてきて、”まっさーじイカガスカ”、と耳元で囁く東洋の神秘。
気づかないフリをしていると、”イーデスヨ”、と神秘はどこまでも追いかけてきた。
静かに闇に吸い込まれるバイク。地下鉄を見送ったときの喪失感。赤子の泣き声。
スウェットにサンダル履きのヤンママの腕(かいな)の中でふるえるチワワ。
虫の音の狂騒。シャワシャワシャワシャワ うひょ ひ ょ ひ ょ ひ ょ ひ ょ ひ ょ ひ ょ ひ ょ。